ライラックの花束を【2】 (ページ27)

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「海斗！帰ってたの？」

「明日演奏会だからね、それに卒論もう終わったし」

「なるほどね、ほんとにありがと」

「最後の演奏を明日に控えて
どのようなお気持ちですか？」

マイクを持ったふりをして
インタビュアーのように尋ねてくる

「何キャラ？」

「有名ピアニストを取材する記者キャラ？」

「大真面目に答えないでよ(笑)
…不思議と落ち着いてる。
緊張もないしワクワクし過ぎて寝れない！
ってわけでもなく…実感ないのかも？」

「それ絶対実感ないやつだ。
俺も学祭までの時そんな感じで
あとからじわじわとくるやつですわ、それは」

「経験者は語る？(笑)」

「そんな感じ」

海斗とのくだらない会話はやっぱり心地よくて

いつまでもこの時間が続けばいいのにと長う

けれどそううまくいくはずもなく

「落ち着いてんならよかった
…明日、楽しみにしてる、おやすみ」

そう言って海斗は自分の部屋に戻っていった