ライラックの花束を【2】 (ページ33)

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「伝え方が分かりにくいよ、ばか」

ひとつひとつ、
今までもらった花の意味を思い出し涙が溢れる

「気付くのがおせーよ、ばか」

私の頬を伝う涙を拭き優しく目尻に口付ける

海斗のくせに、そんなキザなこと。

なんて考えていると

唇が塞がれて。

「…俺ね、初めて会った日から
手を引いてくれたあの日からずっと好きだった」

「…うん。」

「いつも一緒にいるのが当たり前だったのが
そうじゃなくなって、なのにまだ、俺は関係性に甘えて、壊れるのが怖くて逃げてばっかで」

どんどん海斗の抱きしめる力が強くなる

もう離さない、そう言ってるように伝わるのは

あまりにも都合がいいだろうか。

「…けど、逃げるのやめる。
どんだけ逃げてもやっぱり俺はAが好きです
これからは幼馴染ってだけじゃなくて大切な人として
ずっとそばにいて欲しい」

こんな時もストレートに言葉を伝えてくれる海斗に

これ以上ストレートな言葉をかけることはできないと思い、

「…っ」

そっと自分から唇を重ねる

「私も、海斗の大切な人になりたい。
ずっとそばにいたいし、いて欲しい」

微笑みながら応えると
くしゃくしゃの笑顔で海斗が笑う

「帰ろっか」

片手に花束を持ち
空いた方の手はすぐに海斗の大きな手に包まれる

幼馴染、という良くも悪くも近すぎる関係が

思ったより遠回りをしてしまったかもしれないけど

これからは同じ道を一歩ずつ歩んでいける

温かな手と柔らかなライラックの香りに包まれて

今までにないくらいの幸福感に包まれて

今日から＂幼馴染＂ではなく＂大切なあなた＂との

新しい日々が、始まる。