ライラックの花束を【2】 (ページ31)

今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:106,697 hit

81 ページ31

・

「私も…私もね、話したいことある」

多分、想いを伝えるなら今日しかない

そう思いつい口走る

「え、そうなの？そしたら先に話す？」

きょとんとした顔で海斗が薦めるのが面白くて

「いや、いい(笑)あとでで。ほんとに。」

緊張していたのに思わず笑いがこぼれる

「じゃあ俺から………
あーまじで、たいしたことじゃないんだけど。」

しばらくどうするか迷った素振りを見せた後、

意を決したように真っ直ぐ私の目を見つめる

痛いくらい刺さる視線に

目を逸らしそうだったけど

なぜか逸らすことはできなくて。

無言のまま見つめ合う時間だけが流れていた

しばらく経って、

ずっと後ろに回していた手を

海斗が前に持ってくる

その手には小さな紫色の花束が握られていた

「受け取ってください」