ライラックの花束を【2】 (ページ23)

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「やっっっばい、緊張……」

「A、本当にありがとね。
大丈夫、私近くで見てるから！！Aらしくね！
リハの時私めちゃくちゃ感動した！」

後夜祭が始まり、
思った以上に集まった人数が多いのを
目の当たりにして震える私を花音が励ましてくれる

落ち着かずステージ裏をうろうろしていると
電話がかかってくる

「…もしもし？」

「もしもし。俺。ピアノの前、陣取ったった」

「ほんとに？あの人の多さですごい」

「頑張った！だから、落ち着いて、大丈夫。」

「…ありがと。そろそろスタンバイだから行くね」

「おー、変顔して待ってる」

笑いながら電話を切る

「それでは、グランドフィナーレです！」

司会の人の掛け声を合図にピアノの前に座る

ふとステージの下を見ると

変顔ではなくて今までに見たことのないくらい

優しい顔をした海斗の姿が目に入る

大丈夫。私ならやれる。

海斗の顔を見たら落ち着くことができて

深呼吸をしてひとつ目の音を奏でると同時に

＂恋の鐘＂の音が鳴り響いた