☆ ページ7
ああ、私はこんなにも執着していたのか。
この恋が終わった。
そう感じるたびに苦しくなる。
「大好きだったわ」
そう言って私の頬を撫でる。
お別れなら、いっそ私の元から姿を消して。
そんな見せかけの情なんていらない。
『私、まだ願いたいから。 あなたといること』
だから──離れてよ。
そう願うほど溢れてくる雫。
『私、ほんとどうしようもないですね』
「そうね。 私に……利用された相手に執着するなんて、馬鹿みたい」
そう言って私から離れる。
ベロバちゃんの色は変わった。
もう、私の色じゃない。
わかっている。 もう私の中ではわかってきているんだ。
いつか関係が終わる。 兆候は理解していたつもりだった。
でも、少しだけ、少しだけ期待している自分がいる。
ねぇ、ベロバちゃん。 私、どうしようもないから、まだこの関係に光を見出したいな。
私が俯いていると、いつものように撫でようとしたようにみえた。
「わかってるんでしょ、もうこの関係が終わること」
『でも、終わってほしくないです。 どんな時でも、ベロバちゃんがいてくれたから頑張れたんです』
「Aが何を言おうとこの関係は終わり」
苦しい。
大好きなのに。 もう──
この際、都合の良い存在でも構わないです。
なんて言葉も言えない。
もう私には彼女の元を去ることしか、もう……出来ない。
この関係を終わらせる、それがベロバちゃんの願いなら。 愛しい人の願いだから。
『ベロバちゃんのお願い、叶えますね。 それ以外は──もうどうすることも出来ません』
私は震えながら呟き、彼女の元を去った。
私が歩いていると、涙に応えるように雪が降ってくる。
これで……良いんだよね。
私、ベロバちゃんの思う色になったよ。
降り積もる雪。 それを見上げる私。
そういえば、一緒に春の花を見たいね、なんて言ってたな。
でも、二人で春を見ることは無い。
『……まだ寒いなぁ』
チューリップ / indigo la End
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