チューリップ / ベロバ ページ6
あなたに恋をして、あなたの色に染まって。
素敵な日々だった。 彩りをくれる恋だった。
……なのに。 どうして?
その日はまだ寒くて。
寒さと驚きで震えが止まらない。
「あんたはもう用済みなの」
『……どうして』
どうして? あんなに大好きと言い合ったのに。
無理だよ。 今更色を変えろだなんて。
ベロバちゃんの目的は果たし、私たちの関係はもう終わったんだ。
もう恋人同士では無い。
そう思うと、只々涙が溢れるばかりで。 私は俯くことしかできない。
ただ利用されただけ。 私は都合の良い存在に過ぎなかった。
わかってた。 心のどこかでは。
でも──
「……愛してたわ、A」
そう言ってベロバちゃんは私を抱き寄せる。
なんで、こんな状況でそんなこと言うの?
『私、期待しちゃいますよ』
お願い、情を見せないで。
私の心はぐちゃぐちゃになっていくから。
終わるだなんて信じたくない。
愛しているのに。
恋の花弁はあっけなく散っていく。
ベロバちゃんの隣にいれた時は飛び上がるほど嬉しくて。
天にも登る気持ちだった。
初めてのデートも、手をつないだ時も。
それらを思い出せば鮮やかに蘇る。
でも、ベロバちゃんにはその色はもうなくて。
いや、最初からなかったのかも。
きっと、自分の目的の為に私が好都合だっただけ。
でも、思い出してしまう。
抱きしめてくれた時の温もり、ふわりと香る優しい匂い。
1人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ