Star 2☆ ページ3
ヴィーナスアーク。
豪華客船型アイドル学校で、エルザに認められたアイドルが乗っている。
勿論、エルザに見放されたら船を降りなければならない。
厳しいところはあまり変わってないな、と思いながら私は船を見上げていた。
何故、私は学校に入れないでいるのか。
それは、ヴィーナスアークの纏う雰囲気だけではない。
……逃げる様にアイカツを辞めた私がこの船に入っていいのか。
そんな思いが湧き出る。
私は深呼吸を一つして、覚悟を決めた。
船の階段を登り、出迎えてくれた執事に名前を言えば、すぐにエルザのいる執務室に通された。
私はノックし、部屋に入る。
中にはエルザとレイがいた。
『……エルザ、久しぶり。 Aです』
そう言いながら近寄る私の姿を見てエルザは目を少し見開いたが、すぐに元に戻り、いつもの不敵な笑みを浮かべ、こう言った。
「まさか、本当に戻ってくるなんてね」
『……変わらないといけないから』
「結構なことね」
ふふ、この口癖も変わってないな。
「A、星のツバサが十つ揃ったのは知っているわね」
『うん、聞いた』
私は頷きながらそう答え、ファイルからとあるカードを取り出した。
それを見て、エルザもカードを出す。
──星のツバサ。
それは、選ばれた者の証。
この執務室にいる三人全員が所持している。
『私が持っていていいのかな、って思っちゃうな』
私の言葉に、エルザは。
「そんな弱気になって……Aのアンドロメダのツバサが泣いているわね」
と、淡々と言う。
息を飲む私に畳み掛ける様に、次の言葉が発せられた。
「A、覚悟が決まった時に…………もう一度ステージに立ちなさい」
『エルザ……』
「楽しみにしているわ、下がりなさい」
私はうん、とだけ答え、執務室を後にし、船の階段を降りながら、頑張ろう、とだけ呟き、日本の家に向かった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 52人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
