9、ごはん ページ9
「ねぇ〜遅いんですけどぉ！！話と違うじゃん！！」
ぷんすこ、そんな効果音が付きそうな怒り方で出迎えてくれたぶるさん。相当ご立腹らしい。
「昨日"19時には帰れる"って言ってたのに、今もう20時！僕せっかく待ってたのにさ？」
それは昨日の話。
───
─
『明日から仕事なんで、留守番しててくださいね。冷蔵庫のものは好きに食べていいんで』
「え？仕事……ってことは、A家に居ないの？！」
『そうです。朝8時には家を出て、多分19時には帰れます』
「ふーん……まぁ、それは仕方ないかぁ」
仕事を休むわけにも行かないので、とりあえず家事だけでもしておいてもらおうと色々教える。
掃除、洗濯、料理。
道具の置いてある場所と、いじらないで欲しい場所。
『そして外には絶対出ないこと。昨日みたいに探しに行くの懲り懲りなんで』
「は、はーい……」
───
─
なんて会話をした覚えがある。しかし帰路の途中で冷蔵庫の中がスカスカだったことを思い出し、スーパーに寄ってきたので仕方がない。
「せっかく出来たてのご飯食べて欲しくて張り切ったのに！」
『あー……すみません、作って待ってるとは思ってなくて』
そもそも長いこと一人暮らしをしていたので、帰ってきたらもうご飯が用意されてる状況を想像していなかった。なるほど、家に人がいるとそうなるのか。
それは、申し訳ないことをした。
『明日は絶対時間通りに帰ります』
「絶対だからね？じゃあ温めなおすから、座ってて」
大人しく従い待っていれば、ありあわせの食材で作ったとは思えないほど豪勢な料理が並べられていく。
「どぉ？すごいでしょ〜？一緒に食べたくて、待ってたの」
確かに、こんなに出来がいいものをひとりで食べるのは少し虚しい。例のごとく2人並んで手を合わせる。
「『いただきます』」
ぶるさんはこちらをじっと見つめ、不安そうに感想を待ちわびている。……そんなに見られると、食べにくいのだが。
『……すごい美味いです』
「はぁ……良かった〜〜〜〜！！僕も食べよっと」
お肉がメインの料理たちはあっという間に胃の中へ消えていった。
時間を確認しようと取り出したスマホの通知を見て、ふと思い出す。そうだ、動物病院を教えてもらったんだった。検査くらいは受けてもらった方がいいだろう。
『ぶるさん、病院行きましょう』
「え、僕、どこも悪くないよ？」
『念の為です。水曜は午後休なんで、一緒に行きましょう』
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作者名：ぱすた | 作成日時：2023年8月16日 19時
