【男主】猫、時々、人間。【WT】 (ページ3)

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3、居候で候ページ3

にぱっと笑って何度も反芻するぶる……ぶるさん。どうしても、昨日の猫とはにわかには信じ難い。何度頬をつねっても、今起こっている出来事が夢じゃ無い事は明白だ。

『えっと……とりあえず、ご飯、食べますか』

「あ！待って僕作る！昨日いっぱいご飯貰ったから、作らせて？」

見ず知らずの人(？)をキッチンに立たせるなんてどう考えても危険すぎる。刃物だってあるし、襲われたらひとたまりもない。

『い、いや、俺が作るんで！大人しく座っててください！』

「いいの？じゃあ待ってるね」

ソファに座ると自由に寛ぎ始めた。言われてみれば所作が猫っぽいような……そうでも無いような。

簡単なフレンチトーストを2人分作り盛り付ける。リンゴを混ぜたヨーグルトも添えて。

「いい匂いする！」

匂いにつられてキッチンへと様子を見に来たぶるさん。素性が分からないので、うろつかないで欲しいのだが。

『これ、そっち持っていってくれますか』

「はーい！」

聞き分けよくお皿を運んでくれる。猫と同じ色の、ふわふわした髪の毛が揺れていた。思えば確かに、目の色も綺麗な青い目だし。……まさか本当に？

テーブルにつき、2人並んでトーストを食べ始める。とにかく疑問を晴らしたい。悪質な強盗の可能性もまだ捨てきれていないし。

『本当に猫、なんですか？その……どういう仕組みで？』

「それが僕にもわかんないんだよね～。人間になったのなんて初めてだから、何が起きてるの？って感じ」

『そ、そうですか』

疑問は解決しなかった。分からないなんてこっちも困るのだが。さてどうしたものか。

「Aは猫の僕の方が好き？」

『え、いや、別にどっちでも……』

「そっか～！どっちも好きかぁ～！」

『っちょ怖い怖い怖い！！離れて！！』

「あ……ごめんなさい……」

抱きつかれそうになるところを咄嗟に避ける。やっぱり怖いよこの人。初対面なのに。距離感バグってるのか？

シュンと大人しくなった彼に警戒しつつ、味のしない朝食を食べ終えたところで、もうひとつ質問を投げかけてみた。

『あの……ぶるさんは、いつ帰るんですか……？』

「え？」

『え？』

会話をしている最中、終始ずっとにこやかだったぶるさんの顔から、スン……と笑顔が消えた。

怖いんですけど。