11、ドライブ ページ11
水曜日。昼食を食べてから病院に行くことになった。
何故かついでにきんときも同行するらしい。
スマイルさんと2人だと会話が成り立つか不安だったので、正直ありがたい。
「びっっっくりした。まさかあのスマイルが車出すとか言い出すんだもん」
「……暇だったし、迷子になるだろうなーと思ったから連れていくだけ」
「へぇ〜……半休取ってまで暇だったんなら良いけどね」
「お前っ……きんときだって今日は予定あるつってたじゃん」
「ん？もう終わらせたから大丈夫」
と、このように2人で会話しているので俺はほぼ空気。良いのか悪いのかはさておき。
「あ、次の信号右折したらもうAの家つくよ」
『なんできんときが案内してるんだよ』
「いいじゃんいいじゃん」
そんなこんなで家につき、2人を車で待たせてぶるーくを迎えに行く。
『ぶるーく、準備出来……なに！？』
「…………他の獣のニオイがする」
部屋に入るや否や抱きしめられ、体や頭をスリスリと押し付けられる。ぶるーくは自分より背が高いので身動きが取れない。
『ちょっ、人を待たせてるから、離して』
「うぅー……じゃあ帰ったら続きする」
『何があっても外で絶対に人の姿に戻っちゃダメだから！』
くしゃみをさせて、タオルに包んで外に出た。
念の為カバンに着替えも忍ばせておく。
「わぁ！かわいい！名前は？」
「ぶるーく、男の子だよ」
「ペット用のキャリーバッグとかも買わないと。今後必要になるだろうし」
後部座席に座り、警戒していたのかしっぽが膨らんでいるぶるーくを撫でて落ち着かせる。
数分もすれば不機嫌がなおり、気づけばうたた寝をしだした。手を止めると噛んでくるのでずっとこのまま。
「知り合いがそこで働いてる。腕は確かだし、融通きくから任せといて。……ただお節介でうるさいけど」
「診察待ちの間、俺とスマイルは車で待ってるから」
『ありがとう、行ってくる』
受付に行けばあぁ、予約の……と言われすぐに奥へ通される。
建物が少し古いのかどこか不気味な雰囲気がある。
診察室の扉を開けると、随分目立つ風貌の白衣の男が1人座っていた。
「スマイルの紹介で来たんだよね。担当医のきりやんですどうも」
『あ、はい。よろしくお願いします』
「えーっと……保護猫ちゃんね、子猫って聞いたけど……デカくない？」
『年齢とかもわからないので、調べてもらえると……』
「だいたいなら。まぁ、どうせなら検査全部やっちゃおう！」
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作者名：ぱすた | 作成日時：2023年8月16日 19時
