【男主】猫、時々、人間。【WT】 (ページ1)

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1、拾い猫ページ1

残業を終えて会社からの帰路の途中。ようやく迎えた週末に浮き足立ちながら、コンビニで買った酒を片手に歩いていた。

電柱の下にダンボールが置かれているのが目に入った。こんな道端にゴミ捨てるとか、治安終わってんな。

……近所からの疑いがかけられたらたまったもんじゃない。処理してやろうとそれに近づく。

『ったくふざけ……。あー、うわぁ、まじか』

「ニャー……」

見れば茶毛の子猫が横たわっている。かなり細く、衰弱している様子。

……夜も遅いし、今保健所に連絡してもなぁ。

かと言って見捨てて帰るなど出来なかったのでやむなし。ダンボールごと抱えて帰宅した。

『猫って……何食べるんだろう……？いやまず洗うべきか……？』

このままにしておくのも衛生的に良くないかと、風呂場で温めたタオルを使い、最低限の汚れを落としていく。

暴れる様子もなくされるがままに身を預ける子猫。それどころかスリスリと手に頭を擦り付けてくる。

『……可愛いな』

アニマルセラピー。このままだと愛情が湧きそうで危ない。そう気安に動物を飼おうだなんて、責任を負えない。

乾かしてやればパサパサだった毛並みもふわふわになり、まるでぬいぐるみのようだった。青い目がよく映える。
さっきまでの様子とはうって変わり、元気に歩き回り始めた。

『ちょっとだけ待ってろよ』

再びコンビニへと足を運び、猫用のゴハンを探す。何がいいのか分からないし、どうせ明日にはお別れするのだから、少し高めのちゅーるでも買ってやるか。

ついでに酒のつまみも買い足して。

帰ればソファの上で我が物顔で座っている猫。待ってましたと言わんばかりに足元に擦り寄り、じっとこちらを見上げてくる。

『猫、ご飯だぞ』

小皿に先程買ったちゅーるを乗せて差し出せば勢いよく食べ始めた。相当お腹が空いていたらしい。

自分もお腹が空いていたし、さっさと夜飯の準備でもしようか。
買ってきた鶏肉を茹でて出汁をとる。鶏白湯ラーメンがいいな。

気になったのかジッとこちらを見上げる個体。

『まさか……コレ食いたいの？』

「ニャー♪」

『人間の食い物にがめつくとは、強欲だな』

念の為食べられるものをネットで調べて、細かく切った鶏肉を小皿に取ってやる。ついさっき出したちゅーるは既に跡形もなく消え去っていた。

『相当腹減ってたんだなぁ』

与えたものはすぐに胃の中に消え去ってく。なんだか居た堪れない気持ちになり、結局茹でていた鶏肉は全部こいつにあげた。