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智くんが出ていったリビングにしばらく立ち尽くしていたけど明日も仕事なのを思い出し
クレンジングシートで化粧を落としてさっさとベッドに横になった
お酒を飲んできたはずなのに全然寝つけない
さっきの智くんの一瞬だけおでこに触れた唇の感触は残ったまま
智くんと目が合って顔が近づいて来るあの瞬間が何度もフラッシュバックする
もうドキドキして顔が熱くなってなんだか気恥かしい
こんな感覚二度と味わえないと思ってた
裕貴の支配下に置かれたまま人生を終えると半分諦めていた分、自制してたものが全て解除されてる状態
智くんずっとここにいてくれてもいいんだけどな…
そんなことを考えてると浴室のドアが開く音がする
あ、智くんお風呂上がったんだ
そんないつもなら気にしない生活音でさえ敏感でなんだか緊張する
しばらくすると裸足でこっちに近づく足音が聞こえて思わず寝たフリをした
私の寝室のドアがガチャっと開き
智｢A？寝ちゃった？｣
｢………｣
智｢すごい飲んでたもんね、寝ちゃったか
おやすみなさい｣
寝室のドアが再び閉まった
ごめん、智くん
寝たフリなんかして
私が寝てたのに、正確には寝たフリだけど
ちゃんと｢おやすみなさい｣って言ってくれるところ
そんな些細なことも嬉しくて
恋ってこんなに楽しかったっけって浸っているといつの間にか眠りに落ちていた
．
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作者名：夢叶 | 作成日時：2019年8月25日 22時
