兄に妬みを。父には承認欲求を。３【僕のヒーローアカデミア】 (ページ48)

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寮に帰る道でも、冷猫はずっと爆豪の腕に抱きついたまま

それを爆豪は嫌な顔ひとつせず、冷猫を見つめている

『ねぇ好き。一生私の事だけ見てて』

爆「あぁ」

『浮気したら氷漬けだからね』

爆「この俺が浮気なんてする筈ねェだろ」

『もし授業以外で他の女子と喋るなら私のいる場所でね。二人っきりは絶対駄目』

爆「冷猫もクソモブと喋んなよ」

『私が見てるのは勝己だけだよ』

さっきからこんな調子である

冷猫は重い。めちゃめちゃ重い。幼少期からの環境が関係しているのか、とにかく重い

５分に一回は必ず好きと言うぐらい重い

そしてその状態のまま寮に入れば、その時の状況は容易に想像出来るだろう

二人の今までにない引っ付き具合を見て、皆が一気に騒ぎ立てた

芦「え！？え！！？とうとう付き合った！！？」

葉「カップル誕生だー！！！パーティーしよパーティー！！」

上「くっそ爆豪〜〜！！お前にだけは抜かれたくなかったよ！！！！」

女子は顔を真っ赤にしてキャアキャアと騒ぎ、峰田と上鳴は血の涙を流している

轟「冷猫」

いつもより少し動揺している轟が冷猫に話しかけた

轟「爆豪と付き合ったのか」

『……アンタには上げないから』

爆「コッチから願い下げだわクソが！！！！」

冷猫が爆豪と渡さんと言わんばかりに腕の力を強め、爆豪は渡されんとばかりに轟に怒鳴り散らしている

轟は二人を見つめ、ふっと眉を下げて笑った

轟「良かったな、冷猫」

轟は薄々気がついていた

二人が両思いだと言う事を。片割れの、爆豪を見つめる目が他より違うと言う事を

今まで皆に自分のおまけとして扱われてきた冷猫に、遂に冷猫だけを見てくれる人物が現れた

それは轟にとって大変嬉しい事であり、あの日からずっと願っていた事

冷猫はそう言った轟に呆気に取られる

何故、今まで自分を酷く嫌ってきた人に対してそう言えるの？そんな表情が出来るの？

だけど、それよりも今は

『……うん。良かった』

その感情の方が大きかった

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