英雄に非ずんば。【僕のヒーローアカデミア】 (ページ2)

今日:10 hit、昨日:33 hit、合計:48,527 hit

1 ページ2

.

家が嫌い。両親が嫌い。兄弟が嫌い。親戚が嫌い。親戚が嫌い。従兄弟が嫌い。当主が嫌い。全員嫌い。大嫌い

”西凰家に非ずんば英雄に非ず。英雄に非ずんば人に非ず”

この言葉も嫌い

本当馬鹿馬鹿しい

私の家は個性発現当初から存在している由緒正しきヒーロー一族。西凰家自体は、ずっと昔からあったみたい。それがいつの間にかヒーロー一族として世間に名を轟かせる事になった

「明日家を出るそうだな。杏咒」

目の前にいるのは、呑んだくれ当主。呼び出された部屋には大量の酒瓶が転がっていて、酒の匂いが充満している

「くれぐれも西凰家の顔に泥を塗るような事はしてくれるな」

杏咒の顔がほんの少し歪む

『話はそれだけか、こっちも暇じゃないのよ』

「当主に向かってそんな口の聞き方をするのかね」

当主はグビグビと酒を呑んで空になった瓶を畳に叩きつける

『てめェ酒臭ェんだよ。もう話ないなら戻る』

部屋を出た先には、ニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべている男がいた

「あれぇ〜？杏咒ちゃんやん。すっかり女になって、俺嬉しいわぁ」

杏咒は眉間に深い皺を寄せながら男の横を通り過ぎる

「無視はアカンで〜杏咒ちゃん。女は常に男を立てな、分からんか？杏咒ちゃん、えらいべっぴんさんやけどアカンわ。男立てれてへん。三歩後ろを歩かれへん女は背中刺されて死んだらええ」

その男は杏咒の血縁。親戚か従兄弟かよく分からないけど、血が繋がっているのは確か

元々西凰家は男尊女卑がかなり激しく、相伝の個性を持って生まれた杏咒でさえ中々スタートラインに立つ事が出来なかった

『お前は随分暇そうだな。次期当主様なんでしょ、ならさっさとお仕事にでも行ったらどうですか』

「さっき俺が言うた事、聞いてたかいな」

『知らね』

杏咒は男の足を踏んづけて自室へと戻った

.

漂う禪院○哉……

.