ファジー・スノー 2 (ページ10)

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モヤモヤページ10

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仕事が終わり帰宅してすぐに震えた携帯には彼女の名前が表示されていた。それなりの頻度で文字のやり取りはするけれど、特に用事もなく電話がかかってくるなんて珍しい。

「もしもし」

『あ、もしもし？』

「おつかれ、どしたの」

『なーんかさぁ、モヤモヤしちゃって。ちょっとだけ話聞いてくれる？』

人間というもの、どうしても1人じゃ解決できなかったりよく分からないけど無性に誰かに話を聞いてもらいたい時なんて誰でもあるだろう。

片想い期間は別として、比較的いつもポジティブな凛がそうなるんだから本当に困っているんだろうなと私は聞く姿勢を取った。

『いや、なんていうか。勝手に私が考えすぎてモヤモヤしてるだけなんだけどさぁ』

「いいよ、一旦自分の非は考えないで思ったこと言ってみな？」

そう言うと彼女は『A…すき』とぽつんと言ってくれた。可愛いやつだ、さっくんが惚れ込むのも分かる。

そんな凛の話を聞くところによると、モヤモヤの原因はさっくんの同僚の女性にあるらしい。

彼には入社当時から仲が良く、よく一緒に仕事をしている女性の同僚がいるらしく、この間あった職場の飲み会での写真を見せてもらった時にその同僚と彼の距離感が気になったんだとか。

全員が写真に写るために身体を寄せただけかもしれないが、結構しっかり腕を組まれてるというかとにかく結構な密着具合だったらしい。

そして他の数枚も見せてもらったところ、多分ノリで向かいに座っていた他の人が撮ったのであろうツーショットなんかもあり、それも中々に距離が近かったんだとか。

「ツーショットかぁ」

『まぁでも明らかにあっちから近寄ってる感じはするから大介側からくっついてるわけではないと思うんだけど…』

「てかそのツーショット、さっくんが見せてきたの？」

『あぁ、ううん。多分大介のカメラロールにあったのはその集合写真だけかな。それ見て気になっちゃって私から他の写真ないの？って言ったんだよね、そしたらグループのアルバム見せてくれて』

正直、あんなに凛にぞっこんなさっくんがそんな簡単に他の人になびくわけがない。

その話にあった通りさっくん自身はその人とのツーショットを大事にしてるわけでもなさそうだしそこは心配ないと思うのだけど。