ファジー・スノー 2 (ページ8)

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「……つまんないな、私」

そう、自分の特性を冷静に分析しながら歩いている私が思わず呟いたのはそんなこと。

別に、日々のテンションやモチベーションを上げるために普段使いしたっていいのに。そのために思い切って買ったっていいのに。

変に真面目で、なんだかつまらなくて。

その変な基準は百歩譲っても、デパコスを使うような"特別"が無い自分の日常がつまらない。

浮き沈みがない日常。
刺激がない日常。

普通、な日常。

「…普通が一番」

いつだか、誰かが言ってたその一言を呟く。

うん、そうだよ。
お金使わなくて済むし、その分別に回せるし。

"恋、したら？"

そんな、いつだか誰かが言ってた一言も頭に過ったけど

「……誰によ」

したくてできるもんじゃないし。

そんなことを考えながら歩いていた時
ポケットの携帯が震えた。

アプリを開くと通知が付いていたのは彼女とのトークルーム。

"誕生日プレゼントにもらったんだけど、Aが大介に色々教えてくれたんでしょ？ありがとう！！"

とあるブランドのショッパーの写真と共にそんな文章が。

そう、凛は数日前に誕生日を迎えた。
当日はド平日だったためちゃんとしたお祝いは週末にしてもらうんだと私も本人から聞いていた。

"さっくんが凛の好きなブランド教えてって連絡してくれていくつか教えただけだよ！私は何もしてないよ〜"

私はただいくつかリンクを送っただけで選んだのはさっくん自身。それを分かって欲しくてそう送ったのだけど、それでもありがとうとまたお礼を言われた。

そんな凛はやっぱりとてもいい子だ。

「……幸せそう」

凛の笑顔といつも楽しそうな2人の様子を思い出した。
きっと今も2人で笑い合っているのだろう。

やっぱり恋っていいな、素敵だな。

どこか切ない気持ちになりながら思う私。それは今の自分に縁遠いからなのか、はたまた別の理由からなのか。

外に出て、びゅうっと強い風に吹かれた。
マフラーに顔を埋めて一瞬目を瞑る。

目を開けた途端、前を歩くカップルがその風に押されたかのようにぎゅっとくっついて歩く。

大して変わらないだろう。
でもきっと

私の方がきっと冷たい。