ファジー・スノー 2 (ページ7)

今日:122 hit、昨日:56 hit、合計:60,014 hit

つまらないページ7

・

何でもない休日。

日用品やら食料やら、必要なものを買いに1人で街に出ていた。相変わらず寒い日が続くこの頃、雪は降っていなかったけど風が冷たくて最近でも一番寒い気がした。

ある程度買い物が済んだ後、特に何も買うつもりはなかったけどふらりと化粧品が並ぶショップに足を踏み入れた。

なんの意味もなく眺められてしまうのが不思議だ。
カラフル、おしゃれ、可愛い。そんなパッケージを見ているだけで女子力が上がった気がするから凄い。

「あ…」

そこを出てブラブラと歩いていた先、さっきまでいたバラエティショップではなくきちんと一つのお店として立つデパコスのショップが目に入る。

そこはいつか見た、さっくんが凛にプレゼントをしたリップのブランド。

「何かお探しですか？」

ただ通路でぼーっと見ていただけなのに、店員さんに声をかけられてしまう。

気軽に見れるプチプラブランドとは違い、良くも悪くも丁寧に接客をされてしまうお高いブランドは少々敷居が高いもの。

「あ…すみません。見てただけで」

引け腰になりながらそう言うと店員さんは優しく笑って会釈をし、何か気になりましたら遠慮なくお声がけくださいねと言い残してお店の中に。

その店員さんが完全に背を向けたタイミングで私はそそくさとそのお店の前を通り過ぎた。

ただ私は、その一瞬で視界に入ったアイシャドウが強く印象に残ってしまい。

「可愛かったなぁ…あの色」

次の給料日…いやボーナスの時にでも買っちゃおうかなんて思う。

でも

先ほど見ていたプチプラブランドに似たような色があったのを思い出し、本当に欲しかったらそっちでいっかと思ってしまう。

もちろん、値段相応に質が良かったりよく見れば色味もプチプラのものとは違うのかもしれないことは分かっている。

でも、今の私には安く手に入る似たような色があるデパコスをわざわざ買う理由なんてものが無かったのだ。

仕事の日はもっと落ち着いたものがいいし、そもそも仕事なんかに高い化粧品を使いたくない。

なぜなら、個人的に手軽に買える値段じゃないからこそ"特別な時、特別な日"に使うイメージがデパコスにはあるからだ。

その"特別"な何かが自分には無い時は、それを買う理由も無い。買ったところで使わないのが目に見えている

その証拠に、あの一目惚れして買ったシングルシャドウはほとんど使わずにしまわれているのだ。