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あくまでも"かもしれない"でしかない。
そんな合っているかも不明な私の不安定で意味の分からない気持ちは、お酒が力を貸してさらに私を暴走させた。
「……ほんと、綺麗な手してるよね」
彼の話してくれていた事を一切無視して、テーブルに置かれていた彼の手にそっと触れた。
白くて綺麗な、男らしくない手。
でも自分よりは大きい手。
自分の誤魔化しのためのネイルと比べるように、少し指を持ち上げながら何も塗ってない形の整った爪を見つめた。
「……A？」
さすがに動揺したらしい彼の声が聞こえる。
ぼーっとする意識の中でも冷静な自分が
"疲れてるし、酔ってるから"
なんて言い訳を心の中で呟いた。
「‥…水飲みな」
しばらくしてするりと自分の手から彼の指が抜けた。
そして立ち上がった彼は気がつけば3分の1ほどになっていた私のコップを手に取る。
「なんも聞かないけど、あんま思い詰めんなよ」
そのお水が満杯になって戻ってくると同時、そんな言葉をかけた彼。
失礼しまーす
そしてそれに続くように届いた私の半ラーメン
「食える？」
「……たべる」
「残り俺食うから、無理すんなよ」
箸を渡してくれたふっかの手をまた見つめる。
何だか一気に酔いが回ってきた気がした。
「……うま」
そんな身体にスープが沁みた。
本心で呟いた一言は彼の口角を上げた。
「だろ？」
すぐに届いたふっかのラーメンからは当たり前に私の倍は湯気が上がっていた。何だかそれが羨ましくて、私も普通のにすればよかったかなって。それは心の中で思ったはずだけど声に出ていたらしく。
「またくればいいじゃん、俺はいつでもいいよ」
2人でくるのが当たり前のようなその一言。
きっと誰にでもそんな感じなんだろうなって、別に好きでもないくせにそんなめんどくさい事を思う私は本当にどうしたんだろうか。
別に、大学生の頃…
本当に好きだった頃にだって、そんなことは思って無かったはずなのに。
「……どうせ行くなら別のところがいい」
あの頃だったらどう返していたのかな。
今の、"いつもの"自分だったら
また付き合わせる気？だなんて言うんだろうけど
「いくらでも教えてやるよ、美味いとこ」
周りは
今のこの、片方は酔ってて黙ってラーメンを啜ってる私たちを見ても
雰囲気が好きだなんて言う？
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作者名：ぽぷら
| 作成日時：2024年3月29日 22時
