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「どした、今日ずっと元気なかったじゃん」
やっぱり。
ここに歩いてくる途中くらいから察していた、きっと私を心配しているんだろうと。というか多分、ずっと心配してくれていた。
「4人の中じゃ話しづらいこともあるだろうし、俺でよかったら聞くよ。無理にとは言わないけどさ」
何でこの人はこんなに優しいのだろうか。
「…別に？言ったじゃん。黄昏てただけだって」
「ふぅん、そう？」
また一口お水を飲んで頬杖をつく。
自分もそれを流し込めば、その冷たさがすーっと体に染み込んでいくような気がした。
「らしくないなって思ってたんだけど」
「何が」
「顔赤いよ、いつもより飲んだべ」
その原因は、自分が思っていたよりもアルコールが体内を巡っていたからなのかもしれない。
「楽しかったし、いつもより進んだんだよ」
それをさらに自覚してしまった私は誤魔化すように目線を外すしかできなかった。
「そ、帰り気をつけなよ」
私が誤魔化しているのに気付いたのかいないのか、ふっかはもうこれ以上問うことはしてこなくて。
これも彼の優しさなんだよなと分かってしまう私はまたモヤっとした何かが心の中で渦巻いた。
そしてそれと同時に、何で私はずっとモヤモヤしているんだろうって。
疑問すら浮かんできてしまった。
さっくんに変な事を言われたから？
いや、違う。
"私とふっかの雰囲気"が何か分からないから？
…いや、それも違う。
「あ、そうだ。この間さ」
また優しさで、この雰囲気を取っ払うように明るく話出したふっかに思う。
何でこの人はこんなに優しいんだろうか。
誰にでも、みんなに。
そんな優しさを向けられたら、異性同性に関係なく仮にも少しは好意的な気持ちを持つのが普通だろうと。
あの頃の私はまんまとその優しさや人柄に惹かれて異性として好きになってしまって、苦しい片想いをした。
それなのに周りは"勝手"に、しかも"今更"
お似合いだとか雰囲気が好きなんて言ってきて。
じゃああの時苦しみはなんだったんだ
この人は私のこと好きになんかならなかった
それは事実なんだよって
勝手にあの頃の自分を思い出して
あの頃の苦しさを思い出して
そしてなぜか
なんで好きになってくれなかったのに
あんなに優しかったんだ。
周りだけじゃなくて彼にすらも
そんな、意味の分からない怒りを抱いていたのかもしれない。
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作者名：ぽぷら
| 作成日時：2024年3月29日 22時
