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2人でメニューを吟味していくつかを注文した。
2杯目も同時に注文したところで、前回とは違ってペースは早くないなとなぜか私がホッとする。
「そういやさ」
店員さんが去っていき、彼が徐に携帯を手に取る。
「最近大学の時の写真を見返してさ」
「へー」
「一回見出したら止まんなくなって、めっちゃ寝不足で出社したよ」
私もあったな、そんなこと。
そう思い返して一秒、ぶわっと浮かんだあの写真のせいで
「…ふぅん」
心の中でなぜか動揺して、そんな興味がなさそうな返しをしてしまう。
もう、感情が忙しい。疲れる。
「これとかさ、すげぇいい写真じゃんと思って」
ぶわーっとスクロールをしている様子の彼はピタッとある場所で指を止めた。私の方に画面を向けてくる。
「……え」
「これなんだっけ、文化祭だよね？」
それは、間違いなくさっき自分が思い浮かべた写真で。
「まじで何でこんな笑ってんのか思い出せないんだけどさー、誰撮ったんだろ。佐久間かな？」
平然とその写真を見て懐かしそうに目を細めるふっか。
なぜかその姿に、胸の奥がズンっと重くなった気がした。
「…そんな写真あったっけー、全然覚えてなかった」
「おい、俺とのツーショットだぞ？喜べよ」
確かに忘れてたけどさ。
あの頃はこの写真をお守りのように自分のフォルダに入れていたし。
つい、その写真をわざわざアルバムまで飛んで見にいってしまってた少し前の自分だっているわけで。
いい写真
それだけで片付けてしまうんだ、ふっかは。
「凛が常にカメラ持ってた気がする、凛じゃない？覚えてないけど」
「そうだっけ、あーでも確かになんかイメージあるかも。めっちゃ楽しかった記憶はある、文化祭」
「……全然記憶にないなぁ、何やったっけ」
何で私はこんなに不貞腐れてるの。
自分から出た声の低さに、もう1人の自分が呆れたように呟いた。
さすがに何かを感じたのか、ふっかが私を見て
「…まぁ、もう何年も前の話だもんな」
ちょっと困ったように笑って携帯を置いた。
「…あぁ、でもあれは覚えてるよ。ふっかの髪がなぜか緑色になってたとき」
「おい、それは忘れてろよ」
そのふっかの反応にやばいと思って、慌てて少しふざけてみたのだけど。突っ込みつつもやっぱり少し困った様子で、何だか悪いことしたなと反省したのだった。
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作者名：ぽぷら
| 作成日時：2024年3月29日 22時
