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「上手くいってるの？」
ドクドクもワタワタも晴れた私は調子良く彼に問い始める。さっきまで笑っていたふっかは急にどこか気まずいような落ち着かないようなそんな顔に。
「えー…んなの分かんねぇよ、人によるじゃんその感じ方」
「別にふっかの主観でいいよ、どう？」
逆に私の方が口角が上がる。
冬の今から動けば、彼にも春が来そうな予感がする。
「……上手く…いってんのかなぁ」
「お」
「悪くは無い気ぃするけど」
やはりその雰囲気はリアルでガチなのを感じる。
でも「いいじゃん」なんてテンションを少し上げながら言うと彼はまたムッとしてしまった。
「…いや、やっぱ何も上手くいってないかも」
「え、なんでよー」
「てか俺別にその子のこと好きって言ってねぇじゃん」
「昔好きになったんだし、交流深めて行けばまた好きになるかもしれないじゃん？そのために連絡してみればーって言ったのに」
自分が何もないからって他の人のそういう話に盛り上がって。当事者からしたら良くは思えないかもしれないけど仲がいい人のそういう話は思わず気になっちゃうもの。
「余計なお世話だし、俺には俺のペースがあんの！」
「ペースって、好きになるのにペースも何もある？」
「うるさいなぁ、卵焼き全部食うぞ」
さっきまで分け合う空気感だったのにずいっと卵焼きのお皿を自分に引き寄せたふっか。
無意識で片方の手に目線がいってしまったのは気づかないフリをした。
「分かった分かった、返して」
「だからお前のじゃねぇだろって」
手を伸ばすことはしなかった。
治まったはずのドクドクがまた聞こえて来たような気がしたから。
そんなやりとりの中、置いていた携帯が震えて。
それを合図にかふっかもグラスを傾けたのでLINEを開けば絶賛旅行中のあの子から。
「わ、おいしそ〜」
「ん？」
「凛から、夕ご飯の写真きた」
旅館に泊まっているらしい彼女から、向かいに座るさっくん込みのご飯の写真が来た。それを見せれば彼もまたフッと笑う。
「なんか、すごい楽しんでるの伝わるよな」
「ね、旅行もだし、多分2人でいるのが楽しくてしょうがないんだろうなぁって感じ」
お茶目なポーズをしているさっくん。
凛の笑い声が聞こえて来そうだ。
「負けねぇぞ俺らも」
「え？」
「絶対他のもの美味しいでしょ、頼も」
なぜか張り合おうとするふっかはメニューに前のめりになる。
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作者名：ぽぷら
| 作成日時：2024年3月29日 22時
