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何だかずっと地味に戸惑っていた私はかなり控えめになってしまったのだけど
彼はそんな気分だったのか、いつもより量を入れていたように思う。
少しで赤くなる顔はさらに火照っていて、足取りはしっかりしているもののふわふわしているような感じは隠しきれていなかった。
「うし、行くぞラーメン」
「……無理しないでよ、入るの？」
「何言ってんだよこれからが本番だろ？」
今日もまた寒い日なのだけど、やはりアルコールのせいで体温が上がっているのか縮こまずにいつもより姿勢がいいようにすら思える。
明日は土曜だしちゃんと自分の足で帰ってくれさえすればいいのだけど、逆に自分が冷静なせいでやっぱり心配になってしまう。
「……さむ」
私はしっかり冷えている。
マフラーに顔を埋めながら歩く私は思わずそう呟いた。
「また雪振るってね」
「ん…暖冬とか言っといて」
「ラーメンが美味くなんじゃん」
縮こまる私を見て笑ったふっか。
どこまでもラーメン脳だ。
目的のお店についた彼はさすがに懲りたのかライスを頼むことはなく一枚だけ食券を購入した。このテンションならやりかねないと思っていたので変に安心する。
お水を持ってきてくれた店員さんにお礼を言い、それを一口含むとふぅーと眺めの息を吐いて頬杖をついた。
そんな彼の顔はやっぱり赤い。
「…かお赤」
「んー？そんなに？」
「いつも赤いけど今日は特に」
お酒を飲み始めた大学生の頃は お酒に弱いとかすぐ赤くなるとか、それがカッコ悪いと思っていたのか指摘されるとなんとなく否定していた彼。
でもいつしかそれも受け入れて、まだそんなに親しくない人とお酒の話題になるとすぐ赤くなるんすよーだなんて自分から言うほどになっていた。
「潰れた時とおんなじ色」
「掘り返すなよー今日はそんな飲んでないですー」
今でもたまに話題に上がる彼の軽い黒歴史。
学生の時に私たち3人も参加していた大人数の飲み会があった。
大学生というものは大人数で盛り上がれば盛り上がるほど、変な悪ノリやキャパを無視した飲酒をするもので。
私と凛は見つからないように端っこでこっそり過ごしていたのだが、変に人から気に入られるふっかは見事に巻き込まれて最終的に大潰れ。
まだギリギリ生きていたさっくんが頑張って連れて帰り、さすがにめんどくさかったと苦い顔をして言うのだ。
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作者名：ぽぷら
| 作成日時：2024年3月29日 22時
