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「え、したんだ？それで！？どうなった？」
「どうなったも何も…」
この前のテンションからして何だかんだしてないと思っていた私はその答えに少しの驚きを感じた。その勢いで迫るように聞いた私にふっかは何だか後味が悪そうな顔をする。
「別に」
「別にって…もっとあるじゃん。そもそも連絡してみたんならご飯行かない？とかじゃないの？」
「いいだろ何でも」
今度は若干の拗ねた声を出した。そして私への抵抗なのか彼は揚げ出し豆腐ではなくてだし巻きをすっと取り皿に取る。
「えー…なにも無し？」
「別に会うとか誘うとか強制じゃないだろー」
「そうだけどさぁ」
「こっちも色々あんのよ」
これ以上話したくない。
そう言うようにぐっとお酒を流したふっかに私も食い下がるしかなかった。
「…まぁ、私がどうこう言う筋合いはないけどさ」
この手の話は話すのに抵抗があったり恥ずかしさがあるのはよくあることだ。だからこれ以上深く聞き出すつもりはなかったけれど逆にこの感じが“ガチなんだな”と思って。
「応援してるとだけ言っておくよ」
ちょっと真面目にそう伝えてみる。すると彼は何を思ったのかだし巻きを皿ごとグッと自分の方に引きつけたのだ。
「え、なんで」
「応援も何もねぇよ、ばーか」
何故か二ヤリと笑ったふっか。そのまま取り皿に移しもせずに直接口にだし巻きを頬張った。
「ちょ、わたしの卵焼き！」
「お前のじゃないだろ」
「いっぱい食べてんじゃん残りは私のでしょ！」
「早く食わねぇから取られんだよ」
そのお皿を取り戻そうと手を伸ばした先、触れたのはお皿じゃなくてそれを防ごうとしたふっかの手だった。
グッと手の甲を握られて、そのまま片方の手は箸で卵焼きを自身の口に入れていく。
「……ちょ、なにして」
指が綺麗で女性らしささえ感じるからか比較的小さく見えていた手。でもしっかりと私の手を覆って押さえている。
最後の一切れを箸で掴んだと同時、さらにグッと力を入れられて。
「…ね、え」
なぜかドキリと心臓が疼いた私は彼の口に吸い込まれていくだし巻きを見つめる事しかできなかった。
全てを飲み込んだふっかはフっと口角を上げてからそっと手を離す。ゆっくりと降ろしてテーブルに落ちた手で感じたのはひんやりとした感覚だった。
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作者名：ぽぷら
| 作成日時：2024年3月29日 22時
