ばか ページ14
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「お疲れ」
「あぁ、お疲れ」
待ち合わせ場所でぼーっとしていれば仕事帰りの風貌の彼がやってくる。
あの後昼休みにどの辺で飲むのかを決めた後、でも華金だし駅近のお店はほぼ埋まっているだろうなと思っていたらすぐに予約をしてくれたらしい。
「珍しいね、なんかあったの？」
「んや？なんか飲みたいなーってだけ。佐久間は急だし無理かなって」
「最近誘ってこないってちょっと寂しそうだったよ？」
「誘っても断るくせになー、週末の誘いは全敗だから」
俺も学んだのよ、なんて。
確かに週末はもうどちらかの家で過ごすことが恒例化しているらしいあの2人は事前に予定を立てない限り誘われても断ることが多いのだと思う。
それに凛のあの相談を受けている私はきっとこの週末は2人にとって大事な時間になるであろうことが分かっているので、ふっかの判断はその点においても正しいと思う。
凛は次の日、すぐにさっくんに話したらしい。
そして私の予想通り、彼は真っ直ぐに向き合ってくれて凛の不安やモヤモヤも解消されたと。
「まぁ、それだけうまくいってるってことだよ」
ありがとうと改めて連絡が来た時に、すぐに解決してよかったと思う気持ちと、やっぱり素敵なカップルだなと改めて微笑ましくなったものだ。
お店に入ればメニューを見ながら最初のドリンクを聞きに来た店員さんに当たり前かのようにだし巻き卵と揚げ出し豆腐を頼んだふっか。
今日はそんな気分じゃないな、なんてことがあったらどうするんだろうか。なんてそれをまたボーッと眺めながら思ったけれど、結局いつだって卵焼きは好きなのだ。
「こないだ佐久間がさ」
メニューを立てかけた彼は目線を私に向ける。
声をかけられたことによりボーッとしていた意識を戻した。
「めちゃくちゃありがたいって言ってたよ」
「ありがたい…？」
「Aがいなかったら凛の不安に気づけなかったかもしれないって」
不安、の単語でもしかしてとあの出来事が浮かぶ。
「もしかして…写真の件？」
「あー、そうそう。佐久間の会社の飲み会の写真を見た凛が不安になってAに相談したらしいんだけどって」
「あぁ、うん。同僚の女の人との距離が近くてーって。めんどくさいって思われそうで本人には言えないって」
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作者名：ぽぷら
| 作成日時：2024年3月29日 22時
