ファジー・スノー 2 (ページ12)

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電話を切った後ふぅと一息をついて流し込んだお茶。
コップを置いた手、またピンクベージュに目線が止まる。

結局、"酔ってたからだ"と丸め込んであの日の自分の行動の理由を考えることはやめていた。

けど凛の口から出てきた"ボディータッチ"の言葉で少しだけその理由に近しいものが浮かんできてしまったような気がした。

私はあの時、なぜかモヤモヤしていた。

それはあの頃
まだ彼が好きだった頃の苦しみと
実際の現実と

今の周りがやけにかける"雰囲気が好き"

という言葉とのギャップが生み出した形のないモヤモヤだった。

彼は私を好きにならなかったし
私も彼を好きじゃなくなった

雰囲気が好きと言われる割には実際にその2人が結ばれるわけもなく、それが結果なのにも関わらず勝手に何を言っているんだと。

そんな屁理屈なモヤモヤがいつしか

彼の優しさに触れることで

"なんで好きになってくれなかったんだ"

という、あの時の自分が今の自分と交わったような感情になってしまったのだと思う。

それはあのラーメン屋にいる時にもうっすらと感じていた気がする。こんなに優しくしてくるくせにって、あの頃から。

じゃあその感情が私をどうさせたかって

さっくんの同僚が好意からさっくんに迫ったように
自分を意識して欲しいと思って近寄ったように

"私を好きになればよかったのに"

と、"触れる“という行為で
ある意味のアピールをさせたのかもしれない。

「……なにやってんの、私」

それは別に、今の私の感情じゃない。
昔の私の苦しかった心を思い出したが故の

いわば"昔の私"が、なぜか今のふっかに気持ちをぶつけたようなものだと思う。

周りの言葉が昔の私を呼び起こし、お酒を飲んだせいで今の私を使ってその昔の私が当時できるわけがなかった大胆な行動をした。

ふっかには申し訳ないと思う。
昔の私がごめん、と。

「はぁ…」

なんだかものすごい失態を犯した気がした私はため息をついて浴室に向かった。その過ちをシャワーで流してしまいたいとでも思ったのだろうか。

ささくれが痛くて、お風呂でふやけたのをいいことに無理やり取った。軽く血が滲んであーあと思った私はしばらく開けていなかったハンドクリームを手に取った。

指、綺麗になりたいな。