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「あ、おま、俺いっこしか食べてねぇじゃん」
「箸おきっぱだから食べないのかなーと思って」
「お前の話を真剣に聞いてあげてたんだろうが」
代わりとでも言うように私がまた一切れしか食べていない卵焼きのお皿を自分の方に引き寄せたふっか。
「ちょっと、個数が違うじゃん」
「でも大きさが違うじゃん。これでトントンだわ」
「いーや違うね」
「何が違うんだよ」
はい次何飲みますかって卵焼きのお皿を隠すようにメニュー表を開いた。そして後一口ほどのグラスを傾けてそれを空にする。
メニューを持つ手も、グラスを持つ手も。
やっぱり綺麗過ぎる。
自分の今日のネイルは職場用のニュートラルなピンクベージュのワンカラー。これはオシャレというより自分のコンプレックスである手の短さを隠すためだ。
ネイルで誤魔化さなくてもこんな綺麗な手先になりたいものだ。
「……手、綺麗だよねぇ。ほんと」
別にその心の内を出すつもりはなかったのに、無意識に私は声に出してしまったらしく。
「え、いきなりなに」
ちょっと動揺してる顔が見えた。
「……ん？」
「いや……何お前、疲れてる？」
急にそんなことを言われたからか心配までされ。
「素直に褒めてるだけなのに、モテないよーそんなんじゃ。梅酒ロック」
余計なお世話だ、のつもりで次の一杯を頼めば
「…水割りにしとけ」
余計なお世話だ。
別にそれに反論するほどロックにこだわりはないのでそのままにしていたら、店員さんに彼が注文したのはその通り水割り。
彼もこの後は軽いものな気分だったのか、運ばれてきたウーロンハイをその綺麗な手で傾けていた。
「てかさぁ、Aだって共感してたじゃん」
「ん？」
「この前の話、周りの人好きになんないってさ。そっちは前に好きだった人がそうなの？」
なんだかぼーっとその手を眺めていたらブーメランが飛んできて。
「……いや、どうだろうね。よく分かんないや」
別に貴方だよなんて事も言わないのに、本人を目の前にしては肯定できなくて。
「ふぅん」
そんなに興味もなさそうな相槌を聞くと共に、あの頃は全くできなかったこの2人の空間を作り出す事へのハードルが下がったことを思い知る。
「でも、過去みたいにちゃんと人を好きになれたら嬉しいだろうね。それこそ、人間らしくなれそう」
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ぽぷら(プロフ) - ayaさん» ありがとうございます！もう少しでラストスパートなので、引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです☺️ (4月8日 20時) (
レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - 今回も好きなお話で一気に読みました！胸がきゅーっとなります！！ (3月24日 22時) (レス) @page47 id: ff23500b61 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぷら(プロフ) - 優希さん» ありがとうございます☺️ゆっくり更新にはなりますが楽しんでいただければ幸いです！ (3月15日 21時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
優希(プロフ) - 見つけた瞬間飛び起きました👏もう面白くてわくわくしてます！😍 (3月5日 23時) (レス) id: 9e7ca0af4f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽぷら
| 作成日時：2024年3月1日 23時
