・ ページ37
・
大恋愛
その定義もまた分からないのだけど確かに想いを向けていた長さだけで見ればそう言っても差し支えないのかもしれない。
一途過ぎた二人がついに結ばれた瞬間は色々なものが報われたようなそんな気持ちだったんだろう。そう考えると自分達との時間が少なくなったってそれすらも微笑ましく感じる気もした。
「…職場の同期が言ってたんだけどさ」
そんなワードで思考を巡らせていると思い浮かんだあの人の言葉。
「この間話してたさ、今中々人を好きになれないのって“過去に好きになった人が原因”なんじゃないかって」
ふっかはそう言った私に頬杖をついたまま視線を向ける。
「なに、過去の人を忘れられないからってこと？」
「ううん。忘れられないわけではなくて、過去に好きだった人への気持ちが凄く強かったあまり、今現在誰かにそれと同じ熱量は中々注げないなって恋愛に対する自分の中のボーダーが高くなっちゃってる。自分が“好き”と認識する熱量って言えばいいかな、その基準が上がりすぎてるんじゃないかって。
でも過去の人は過去の人でしかないし、別に好きな気持ちを持ってるわけじゃないからその人と恋愛することもない。つまり誰の事も好きにならないし、当たり前に恋愛から遠くなる」
何だか難しそうな顔をしていた。理解力はある人だと思っているので分かってないことは無いと思うけど、少し複雑に話過ぎてしまっただろうか。
「極端に言えば、実った実ってないは別として過去に“大恋愛”をしちゃって、その時の熱量とかその時にその人に向けていた熱量の大きさが自分が恋愛を始める最低ラインになっちゃってる、って感じかなぁ…」
阿部ちゃんの話は分かりやすかったけど、果たして私のこの説明でちゃんとそれを伝えられただろうか。
「…つまり今は別に好きじゃないけどその時の好きな気持ちが大きすぎて、その対象が別になったとしてもあの時ほど好きになれないなぁってセーブしちゃう的な？」
「あー…うん、まぁ、そんな感じだと思う」
多分合ってる…？
首を傾げた私に「ちゃんと話聞いてたのかよ」ってちょっと笑ったふっか。
「ふーん…ま、一理あんのかもなぁ」
でも、案外スッと納得したようで。
「だから、ふっかが今誰かを好きになれないのって過去に好きだった人に対する熱量がもの凄かったのかもよって話」
そんなことを言いながら、最後の一つの揚げ出し豆腐を食べたのは私。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 903人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぽぷら(プロフ) - ayaさん» ありがとうございます！もう少しでラストスパートなので、引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです☺️ (4月8日 20時) (
レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - 今回も好きなお話で一気に読みました！胸がきゅーっとなります！！ (3月24日 22時) (レス) @page47 id: ff23500b61 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぷら(プロフ) - 優希さん» ありがとうございます☺️ゆっくり更新にはなりますが楽しんでいただければ幸いです！ (3月15日 21時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
優希(プロフ) - 見つけた瞬間飛び起きました👏もう面白くてわくわくしてます！😍 (3月5日 23時) (レス) id: 9e7ca0af4f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぽぷら
| 作成日時：2024年3月1日 23時
