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阿部ちゃんは複雑そうな顔をしてお弁当箱を閉じた。
確かに複雑な気持ちになるのは分かるけど、嘘を言っているわけではない。
「まぁでも、阿部ちゃんに限らずね？職場の人って認識があるにしてもさぁ、もう少し興味持ってもいいと思うんだよねぇ。会社くらいしか出会いもないんだし」
「でも興味って持とうと思って持てるものじゃないでしょ？」
「そう、だからその人と言ってたの。なんでだろうねぇって。別に恋愛したくないとかじゃないのに…まぁマストだとも思ってないからなぁ」
結局は恋愛というものに興味が無いのだろうか。
別にいたらいたでいいけど、いなくても困らない。そう思ってる時点で確かにあるとはいえないかもしれない。
こりゃあダメだな。
そう思ってしばらくは恋愛なんてしないんだろうなぁと。
でももっとダメなのはそれが悲しくないこと。もはや拗らせている状態なのだろうか。
「なんで人を好きになれないか、だっけ？」
「うん」
そんなことをぼんやり考えながらまたお茶を飲むと、阿部ちゃんがランチトートにお弁当箱をしまいながら今度はこんな事を言う。
「過去に好きになった人が原因かもよ？」
「過去…？」
「え、さすがに人生のうちに誰かを好きになったことはあるよね？」
「…学生の時まで遡りますけど」
そんな質問をされてちょっとムッとしちゃったけど、正直言えばあの時のふっかを除けば記憶にないほど前だ。それこそ幼稚園の時の近所のお兄ちゃんだと思う。まだ恋愛なんて言えないくらいの子供の話。
「例えばさ、過去に好きになった男が超ハイスペックマンだとするよ」
「え？」
「仕事できてかっこよくて優しくて？束縛はしないけど凄く大事にしてくれて彼女へのプレゼントは外さない！おまけにお弁当も自分で作るし財布を忘れたりなんかしないような？」
自虐の意味も込めたのであろう彼がまた私のお茶を見つめている。何も悪い事なんてしてないのに水分を取ることが申し訳なくなってくるからやめていただきたい。
「そんな人を一回好きになったらさ、今現在その人に気持ちがなくたって他の人なんか好きになれなくない？」
「…そんな絵に描いたような人いる？」
「例えばの話！」
帰り、絶対コンビニ行かせるんだ。
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ぽぷら(プロフ) - ayaさん» ありがとうございます！もう少しでラストスパートなので、引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです☺️ (4月8日 20時) (
レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - 今回も好きなお話で一気に読みました！胸がきゅーっとなります！！ (3月24日 22時) (レス) @page47 id: ff23500b61 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぷら(プロフ) - 優希さん» ありがとうございます☺️ゆっくり更新にはなりますが楽しんでいただければ幸いです！ (3月15日 21時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
優希(プロフ) - 見つけた瞬間飛び起きました👏もう面白くてわくわくしてます！😍 (3月5日 23時) (レス) id: 9e7ca0af4f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽぷら
| 作成日時：2024年3月1日 23時
