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「…フラれたの?」
「いや、なんか気づいたらそういうんじゃなくなった」
「へぇ、好きじゃなくなったんだ?」
そのカップルが道を曲がり、完全に見えなくなった頃。まだ赤く光る信号を眺めながらそんなことを問う。
「んーなんつーか…無理なんだろうな、がデカくなって無になったみたいな。よく時間が解決するって言うじゃん」
「それって解決なの?」
「さぁ」
信号が青になる。
彼が前を向いた。
「…なるほどねぇ、無い話じゃないか」
いつの間にか彼の中から消えた好きだった姿。
こんな風に実はよくある話なのだろうか。
私もそんな感じだった気がしたから。
「そっちは?」
「何が?」
「恋バナ。今は無くたってゼロじゃないっしょ?」
そっちこそ興味があるのか無いのか。
恋バナをするにはあっさりし過ぎているトーンで問いかけられた。
でも、私もそんなことがあったよなんて。
言えない?
「……話は幼稚園まで遡る」
「先生じゃん」
「残念、近所の年上のお兄さん」
本当に?
「そうねぇ、どんな人って話?」
「事細かくどうぞ、直近の人な」
ちょっと笑ってそう問いかけた、君の事を話してあげようか?
「……優しい、実は」
「実はってなに」
「なんていうか、ひけらかさないの。俺何もしてないよ、の顔して誰よりもしてる」
隣にいるのに、この場にはいないような。
昔の彼を別人のように思い返す私。
「ふぅん?」
好きだったなぁ、あの頃。
「まぁあとは、話しやすいし」
「かっこいい?」
「そりゃあね、好きだったんだから」
キャラ的に表立って言われることは少ないけど、かっこいい。顔だって、その人柄だって。
「あー、俺だわ」
そうやっておちゃらけるところも、うるさいなって思いながらも好きだった。
「やばぁ」
「なぁんでだよ、俺優しいし?話しやすいし?かっこいいし?」
どこ行っちゃったんだろうね。
「だったらふっかの子だって、私じゃん?」
「はぁー?」
「私話しやすいし、よく笑うし、可愛いし?」
君への恋心。
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ぽぷら(プロフ) - ayaさん» ありがとうございます!もう少しでラストスパートなので、引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです☺️ (4月8日 20時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - 今回も好きなお話で一気に読みました!胸がきゅーっとなります!! (3月24日 22時) (レス) @page47 id: ff23500b61 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぷら(プロフ) - 優希さん» ありがとうございます☺️ゆっくり更新にはなりますが楽しんでいただければ幸いです! (3月15日 21時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
優希(プロフ) - 見つけた瞬間飛び起きました👏もう面白くてわくわくしてます!😍 (3月5日 23時) (レス) id: 9e7ca0af4f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽぷら | 作成日時:2024年3月1日 23時