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「……あ」
お弁当を持って休憩に入るとすでに座ってそれを広げている男と目が合う。小さく手を振ってアピールしてくるのでここに座れということらしい。
「おつかれ」
「おつかれ…なんでしょう？」
「見てよ、俺1時間も早く起きたんだよ」
彼の前の箱を見れば確かに手作りであろうおかずが複数。
「へぇ、すごいね。卵焼きもできてるじゃん」
「マジ練習の賜物。土日卵焼きしか食べてない気がする」
そう言って綺麗すぎない手作り感のある可愛らしい卵焼きを頬張った阿部ちゃん。わざわざ平日のお弁当のためだけに休日に練習するだなんて。
「…生活力高いねぇ」
「綺麗な卵焼き見せながら言わないでくれる？」
別に意識していたわけではなく箸でつまんだ自分のおかずは卵焼き。私の箸の先を見て眉間にしわを寄せた彼は梅干しが真ん中に乗ったご飯に箸を進めた。
そっちが自慢したくてここに座らせたくせに。
「ハイスぺ具合に拍車がかかってますね、阿部くん」
「お弁当に気取られて財布忘れた俺でもハイスぺって言う？」
飲み物欲しいー…と、確かにいつも横に置いてあるペットボトルのお茶が無い。今時携帯があればタッチ決済で何でも買える時代だけど…と思って社内の自販機を思い浮かべるも確か全部非対応だった気がした。どんまい。
「コンビニ行けばよくない？」
「今日はとことんダメ。コンビニに行くのも忘れたの、朝もさっきも。のくせに財布無いの忘れて自販機行ってるから」
ハイスぺであることは間違いないと思うけど確かに意外とおっちょこだ。本人がいつか、しっかりに思われがちだけど意外と忘れ物とか多いんだよねーと言っていたのを思い出す。
「…戻る時コンビニってリマインドしてあげるよ」
「助かる」
でもこの人のことだからそのうち水筒にお茶入れてきたりして。
「んで、今日の恋愛雑談は？」
「え？」
「議題だよ、議題。何か無いの？」
そんな阿部ちゃんはまた卵焼きをぱくりと口に入れながらそんなことを言う。ちょっぴりニヤついているのはなんなのか。
「えー…もうネタ切れだよー」
「なんだっけ、キューピットしてあげた人たちは相変わらずなの？」
「相変わらずだよ、めっちゃラブラブで幸せそう」
ただの同僚の、しかも本人ではない人の話なんか興味ないと思うんだけど。
「いいねぇ、なんか素敵エピソードないの？」
そう、どこか中性的な笑みが問う。
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ぽぷら(プロフ) - ayaさん» ありがとうございます！もう少しでラストスパートなので、引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです☺️ (4月8日 20時) (
レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - 今回も好きなお話で一気に読みました！胸がきゅーっとなります！！ (3月24日 22時) (レス) @page47 id: ff23500b61 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぷら(プロフ) - 優希さん» ありがとうございます☺️ゆっくり更新にはなりますが楽しんでいただければ幸いです！ (3月15日 21時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
優希(プロフ) - 見つけた瞬間飛び起きました👏もう面白くてわくわくしてます！😍 (3月5日 23時) (レス) id: 9e7ca0af4f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽぷら
| 作成日時：2024年3月1日 23時
