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彼はそんな問いに空の向こうを見るように目線を上げた。それを見上げる私、彼の背の高さを改めて感じる。
「えー、どんな子…」
「あ、好きになった子はいるのね？」
「俺のことなんだと思ってんの？」
「モテ自慢男」
「人聞き悪いねぇ」
あの頃の気持ちは嘘じゃない。
そう思っていたけどあまりにも自分が冷めてて本当は嘘だったのかもしれないと思ってしまうほどだ。
「俺だってなぁ、人並みに恋ぐらいするわ」
「ふーん」
「事細かく聞かせてやろうやろうかぁ？俺が恋した女たちの事を」
「ふ、ノッてきたね」
チラッと彼を見ればわざとらしく拗ね顔。
それに思わず吹き出すと、彼もまたおかしくなったのか少し恥ずかしそうに表情を崩す。
「事細かく、どうぞ？」
まだ駅までは少しかかる。
「幼稚園まで話は遡る」
「それ絶対先生パターンじゃん」
「おい先に言うなよ」
「先生なんだ」
かつて好きだった男子の、かつて好きだった人の話を聞く。そんな訳が分からない帰り道のひと時が始まる。
「一番直近の子、その子のこと聞かせてよ」
「直近ったってなー」
「あ、今いる？」
「んや、今はいない。これガチ」
特に誤魔化してる様子はないので本当にこれはそうなのだろう。自分も聞く姿勢を正すように彼を見れば本当にその気になってくれたらしく、彼は過去を思い返すようにまた上を見上げる。
「仲良かった、同級生」
「かった？過去形？」
「今もー…仲良いんじゃね？知らんけど」
事細かくと言う割にはざっくりした特徴だ。これだけなら話が違うぞとなるのだけど、相変わらず何かを思い出すように遠くを見つめてるので黙って次の言葉を待つ。
「話しやすい、俺の話によく笑ってくれた」
「それで？」
「それで？……えー、なんだろ」
「かわいい？」
「そりゃな、好きだったんだから」
言葉だけを見たらなんて内容の無い、と思うのだけど。彼の表情がどこか見たことないもので、大切なものを手繰り寄せるような雰囲気を感じたから。
ガチのやつだ
そう思った。
「……ふーん」
「…聞いた割に興味ないじゃん、それは」
「意外と広がらなかったなと思って」
「お前さぁ」
信号で歩みを止める。
ギリギリで渡り切った、きっとカップルであろう2人組が目に入った。
手を繋いで、私たちから遠ざかっていく。
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ぽぷら(プロフ) - ayaさん» ありがとうございます！もう少しでラストスパートなので、引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです☺️ (4月8日 20時) (
レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - 今回も好きなお話で一気に読みました！胸がきゅーっとなります！！ (3月24日 22時) (レス) @page47 id: ff23500b61 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぷら(プロフ) - 優希さん» ありがとうございます☺️ゆっくり更新にはなりますが楽しんでいただければ幸いです！ (3月15日 21時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
優希(プロフ) - 見つけた瞬間飛び起きました👏もう面白くてわくわくしてます！😍 (3月5日 23時) (レス) id: 9e7ca0af4f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽぷら
| 作成日時：2024年3月1日 23時
