・ ページ19
・
「…心中お察し…はできないごめん」
「別に、最近はそうでもないけどね」
「うーん、後輩に諦めろって言っておこうか」
「えっ、それ言っちゃダメなやつでしょ」
「ふふ、嘘」
確かに仲の良い後輩が阿部ちゃんにときめいていたことは本当だ。ただその子はプライベートで出会いを経て今は立派な彼氏持ち。
「もう、勘弁してくれ」
「そんなうんざりするほど色々あったの？」
「いや別にそういうんじゃないけどさー…俺職場の人ってそういう対象にならないっていうか、それこそ仕事とプライベート分けたいタイプだからそもそも関心がないんだよね」
「あー…なるほど」
「何となくAちゃんもだと思うんだけどさ、分かんない？」
考えてみれば確かにそうだった。
自分と恋愛の繋がりがあまりにも薄いなぁと思っていたけれど、そもそも会社でそんな感情になることが考えられなくて。
「…分かるな、社内恋愛とか考えられないもん」
「でしょ？」
「むしろプライベートで会社の人に遭遇したらなんか、隠れたくなるもんな。鉢合わせたくない」
「はは、じゃあ俺らも遭遇しないようにしなきゃね」
そりゃあ会社の他に出会いなんてないんだから薄くもなるよなと思う。
「まぁ阿部ちゃんだったら…別に手振るくらいならしてもいいけど」
「彼氏と並んで歩いてる時も？」
「えっ…い、いないよ。彼氏なんて」
「ほら、いなくたって動揺するでしょ？急に聞かれたら」
今度はふふんと笑って唐揚げを頬張った阿部ちゃん。
どうやら仕返しをされたようだ。
「で、なんか恋愛雑談持ってきたの？」
「え？」
「そんな急に聞くから、あるのかなーって」
あぁ、そんなこと話したな。
正直そのワードはすっかり忘れていたのであるわけがない。でもこちらを見て待たれてしまっているので何かないかと頭を回転させると
「……仲がいい大学の同級生がいるんだけどさ」
「ほう？」
思い浮かんだのはあの子達のこと。
「男女で2人、最近その2人がくっついたの。くっついたと言うか…もう1人仲良い男子がいるんだけど、その子と色々お節介してやっと付き合いましたっていう」
「キューピットしたんだ？」
「もう両思いなの確定でしょ！分かるじゃん！って感じだったから痺れを切らして…ね」
卵焼きを一切れ食べながらどこか楽しそうな阿部ちゃんの目線に応える。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 903人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぽぷら(プロフ) - ayaさん» ありがとうございます！もう少しでラストスパートなので、引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです☺️ (4月8日 20時) (
レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - 今回も好きなお話で一気に読みました！胸がきゅーっとなります！！ (3月24日 22時) (レス) @page47 id: ff23500b61 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぷら(プロフ) - 優希さん» ありがとうございます☺️ゆっくり更新にはなりますが楽しんでいただければ幸いです！ (3月15日 21時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
優希(プロフ) - 見つけた瞬間飛び起きました👏もう面白くてわくわくしてます！😍 (3月5日 23時) (レス) id: 9e7ca0af4f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぽぷら
| 作成日時：2024年3月1日 23時
