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「お弁当？そりゃあ憧れのシチュエーションではあるくない？」
少しだけ私側に寄っている卵焼きに手を伸ばしたふっか。お皿を押してあげるとバランスを見てなのか自分の方にあった揚げ出し豆腐を少し私の方に押した。
「ふぅん、やっぱそうなのね」
「なんでよ」
「職場の同期とそういう話になって。お弁当食べてる時にね」
遠慮なく揚げ出し豆腐を自分の小皿に移す。一口含めば大根おろしと豆腐に染みたお出汁がじゅわっと広がる。
「Aお弁当作ってんの？」
「まぁ…寝坊してできない日もあるけどね」
「へぇ、いいな」
いいな
いいね、お弁当。と声をかけてきた阿部ちゃんとほとんど変わらないのに、何だか意味が全然違うように思えて。
「作ればいいじゃん」
「いや俺よ？自炊を全くしない俺が作るわけないじゃん」
「…そうだねぇ」
「やっぱ毎日コンビニとか外食だとさー、なんかこう…手作り感みたいなのが恋しくなるのよ」
どれに対してのいいな、なのかなとか。
意味もなく考えてみる。
作れる事なのか、単純にお弁当というものを食べれる事なのか。
「今どき、女子が弁当は作るものだーとかって幻想抱いたままじゃモテないよ？むしろ自分で作ってますけど！くらいじゃないと」
「別にそんなこと言ってねーじゃん。てかお前が聞いたんだろー？」
本当にそうだ、私が聞いた。
阿部ちゃんとの多様性、平等の話に引っ張られて変な言いがかりをつけてしまったかもしれない。
「てかさ、逆に女子は好きなやつに作ってあげたいーって思わないの？」
「あー…まぁゼロじゃないけどそんなに自信があるわけでもないし。それこそ相手が自分より料理上手だったら恥かくだけじゃん？」
「上手い下手とかじゃなく気持ちじゃないの？そういうのって」
それを聞いて少し驚いてしまった。
確かに、なんて返ってくると思ってたから。
「自分のためだけに作ってくれた、作ろうと思ってくれたっていうさ？その特別感とか気持ち？それが嬉しいもんよ、例え卵焼きがめちゃくちゃしょっぱかったとしても」
卵焼きを口に入れたふっか。
もちろん、お店のだから味付けはしょっぱすぎるなんて事はない。
「……そうねぇ」
意外とロマンチストというか、そういうところがあるんだな。知らなかった彼の感性を一つ知ったような気がした。
やっぱ、この人は優しい人なんだな。
ぼんやりと過去に恋していたあの人を思い出す。
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ぽぷら(プロフ) - ayaさん» ありがとうございます！もう少しでラストスパートなので、引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです☺️ (4月8日 20時) (
レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - 今回も好きなお話で一気に読みました！胸がきゅーっとなります！！ (3月24日 22時) (レス) @page47 id: ff23500b61 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぷら(プロフ) - 優希さん» ありがとうございます☺️ゆっくり更新にはなりますが楽しんでいただければ幸いです！ (3月15日 21時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
優希(プロフ) - 見つけた瞬間飛び起きました👏もう面白くてわくわくしてます！😍 (3月5日 23時) (レス) id: 9e7ca0af4f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽぷら
| 作成日時：2024年3月1日 23時
