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私が恋心を失った一つの理由がきっとそれだろう。
別に何もアプローチ出来てないから当たり前だけど、彼の私に対する気持ちみたいなものはプラスもマイナスも全く見えなくて。
だからこそ叶わないが前提でその恋心を隠し持っていた。見えなすぎて行動する勇気も出なかったし、そもそも見せないんだから私に気は無かったんだろうし。
その期間が長すぎた。
「別に俺なんか隠してるつもりも何もないけど」
「そんな事ないでしょ〜、人は誰しも周りに見せない自分を持ってると思うよ」
失礼しまーす、と揚げ出し豆腐を始めとする色々が運ばれてきた。今日は自分で頼んだ卵焼きが色鮮やかに並んでいる。
「じゃあ持ってんの？」
「ん？」
「周りに見せない自分」
揚げ出し豆腐に手を伸ばしながらそんな事を聞かれ。
卵焼きに伸ばしかけていた手を止めて少し考え込んでしまう。
別に、ないか？
ふっかの前となれば特に自分を作ってるわけでもないし、そりゃあ休みの日にすっぴんでぐーたらしてる姿とかは見せないけどもそう言う事じゃないだろう。
隠していることも…
いや、それはある。
過去に好きだったってこと。
「……なくはないんじゃない？」
「ふーん？」
彼と目があってドキドキしたり
距離が近づいてふわふわしたり
そんな乙女みたいな自分は、きっと必死に隠してて。
でもそれは昔の自分。
今の自分の中にはない。
「いや、ないかな」
「ないのかよ」
「うん、なかった」
ぱくっと卵焼きを頬張れば呆れながらもふっと笑って揚げ出し豆腐を食べたふっか。
「違うよ、私の話じゃなくてさ」
「俺だってないさ」
「ないの？」
「あるとしても知らないよそんなの、自覚はない。あなたの前でも素を曝け出してますけど？」
嘘つけ。
そう思ったけど、今の彼はそうなのかも知れない。
別に私の前で作ってる様子もないし。
あの頃見えなかったのは
私が無理やり見ようとしてただけだったのかも。
「…ふっかはさ、彼女とかにお弁当作って欲しいなーみたいな願望ってある？」
こんな事を聞いたのはまた目の前の卵焼きで阿部ちゃんとの会話を思い出したのと、あの頃見えなかった恋愛観みたいなものが今更少し気になったから。
「今日は話がすぐどっか飛ぶね？今度は何？」
「だから、彼女にお弁当作って欲しいとか思うの？って」
あの頃は好きだったからこそ、こんな簡単には聞けなかった。
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ぽぷら(プロフ) - ayaさん» ありがとうございます！もう少しでラストスパートなので、引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです☺️ (4月8日 20時) (
レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - 今回も好きなお話で一気に読みました！胸がきゅーっとなります！！ (3月24日 22時) (レス) @page47 id: ff23500b61 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぷら(プロフ) - 優希さん» ありがとうございます☺️ゆっくり更新にはなりますが楽しんでいただければ幸いです！ (3月15日 21時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
優希(プロフ) - 見つけた瞬間飛び起きました👏もう面白くてわくわくしてます！😍 (3月5日 23時) (レス) id: 9e7ca0af4f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽぷら
| 作成日時：2024年3月1日 23時
