・ ページ2
・
「恋愛マスター」
「ん？」
「って言われてたの」
私に目線が移動した。
あの頃は自分を見てくれてる事実だけで嬉しくなったものだ。
「一般的に好きな子に言われたりされたりしたら嬉しいことってあるじゃん、褒められるとかさ。両想いなんだからそれにハズレもないと思うし、こんな事してあげたらいいんじゃない？みたいな事も割と簡単に言えたわけ」
「あぁ、確かに」
「あたかも全部分かってるようにね」
恋焦がれたまま、アピールもせずにずるずると時を過ごしてしまった結果。自分の恋心も忘れてしまうほどなのだから。
そんな私が恋愛マスターな訳がない。
「ただの一般論、友達論なのにあの子からしたらすごく的確なアドバイスに思えたらしくて。さすが！って目キラキラさせてさ」
「俺もあいつに偉そうにアドバイスしてたわ。実際女子の気持ちなんて分かんねぇよ」
今こうやって2人で歩いてても何とも思わない。あの頃の自分がこの結果を知ったらショックを受けるのだろうか。
「ほんと、異性の気持ちも自分がどうすればいいのかも…分かるわけないよねぇ」
あれから別に好きな人ができるわけでもなく、誰かに好意を持たれることも多分なく。偉そうに友人にアドバイスする自分を客観視して心の中で苦笑いしていた。
「…ふ、なに。お悩み中？」
「まさか、逆にないから分かんないんだよ」
何だか意味ありげに聞こえたのか少し笑って問いかけてきた彼。今まで友人をくっつけよう大作戦を決行していた私達はそれに夢中過ぎて自分の話をすることなんて1ミリもなかった。
「確かに聞いたことないわ、Aのそう言う話」
「ふっかもね、高校の時にモテた話を擦りまくる割には」
「それは事実だもん」
君のことが好きだったんだよ。
そんな過去形の話なんて、する必要ない。
それを除けば、話すような事はない。
「何かないの？恋バナ」
「お前それ興味あって聞いてる？」
「んー、暇つぶし？ほら、駅までまだかかるじゃん」
「俺の恋バナを暇つぶしに使うなよ」
彼のことを好きでい続ける未来はあったのだろうか。そう考えてみたけど、今現在その気持ちがないのだから想像なんてできなかった。
「今まで好きになった子、どんな感じの子が多いの？」
だって、こんな事を平気で聞いてしまうくらいなのだから。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 903人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぽぷら(プロフ) - ayaさん» ありがとうございます！もう少しでラストスパートなので、引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです☺️ (4月8日 20時) (
レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - 今回も好きなお話で一気に読みました！胸がきゅーっとなります！！ (3月24日 22時) (レス) @page47 id: ff23500b61 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぷら(プロフ) - 優希さん» ありがとうございます☺️ゆっくり更新にはなりますが楽しんでいただければ幸いです！ (3月15日 21時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
優希(プロフ) - 見つけた瞬間飛び起きました👏もう面白くてわくわくしてます！😍 (3月5日 23時) (レス) id: 9e7ca0af4f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぽぷら
| 作成日時：2024年3月1日 23時
