陰キャとさくまの水曜日 2

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「お姉さんバイト？終わったら飲もうよ」

「あはは、まだ未成年なんで〜」


金曜日は客が多い分面倒くさい人も多い。いちいち相手してたらキリがないのでお決まりの嘘をついてそそくさとテーブルを離れる。

常にってわけではないって佐久間くんには言ったけどここ最近多い気がする。みんな疲れてお酒に逃げているのだろうか。



「今日も相変わらずだな」

「ね、花金プラス一般的にはそろそろ給料日だから？」

「俺らもはやく振り込まれないかな」

「あと3日かぁ、またご飯でも行けたらいいね」


通路で目黒くんとすれ違い少しだけ会話をしてまた呼び出し音に向かっていく。忙しいなぁと数えきれないほど思った事をまた心の中で反復する。入りたい子がいるなら入れればいいのに、下が育たないよ？

厨房でお酒をつくる店長に心の中で愚痴を吐く。信頼してくれてるのはありがたいけど一応私たちの本分は勉強であるはずなのだ。



「お待たせしましたービールの方〜」


かなり盛り上がってるサラリーマンたちのテーブル。顔が赤くてだいぶ出来上がっているようだ。早く帰って寝てくださいねとか思いながらお酒を置いていく。


「お姉ちゃん可愛いねぇ、いくつ？」


そしてその言葉を聞いて心の中で盛大なため息を吐いた。
ここもか。


「あはー19ですー」

「ほんとぉ？20超えてるんじゃないの〜？」

「大学生です〜はい、ハイボールの方〜」


おじさんたちの口から放たれているであろうお酒の匂いでむせそうだ。あと３つ…あと２つ…！と目を合わせないようにお酒を置いていく。

そしてやっとこ全てのお酒を置いて失礼しまーすとテーブルを後にしようとした時


「待ってよ〜ちょっとおじさん達の相手してよ」

「え！？あ、ちょ」



思いっきり手首を掴まれてしまった。頭の中ではこのセクハラ野郎！！と暴言を吐きながら冷静だけど、実際はちょっと焦っていた。


「お姉ちゃん可愛い顔してるねぇ、おじさんタイプだな〜」


周りのおじさんもニヤニヤしながら見てるんじゃないよ…通報すれば一発だぞロリコン野郎。

そんな事はもちろん言えず。


「連絡先教えてよ〜美味しいご飯連れてってあげるよ〜」

「ごめんなさい〜お店の決まりで無理なんです〜」


ニコニコしつつ徐々に顔が強張っていく。気持ち悪い、顔が近い。かなりピンチだということを悟った私は生理的な涙が湧き上がってくる気がした。





"店員さん、ちょっといいですか？"

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