陰キャとさくまの水曜日 2

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"お昼空いとる？学食でご飯食べようや"


午前の授業中一通のLINEが。可愛らしいスタンプと共にそんなことを送ってきた康二くんに珍しいなと思う。

今日はお弁当も持ってきてないし、午後の授業は一コマ先からなのでゆっくりできるもんなと思っていいよと返した。



「はーい佐久間さん登場！」

「……そうか、今日持ってきてない」

「へ？」


本当にお弁当持ってない日に現れるこの人はやっぱり幽霊か何かなんだろうか。朝私の家に壁すり抜けて入ってきて弁当作ってないのを確認でもされていたらゾッとする。


「学食いこー」

「あ、いや…ちょっと今日は…」


ただ先客がいるので今日ばかりは連れてかれるわけにはいかない。


「あれ、お弁当持ってきてた？」

「いや、友達と食べる約束してて」

「…あーそっかぁ、先に約束してたんなら仕方ないね。またくるー！」


またくるって…だからここ建築棟なんだよな。
もう今更な事を思って改めて変な人だと。


学食に向かうと入り口にカメラをぶら下げた康二くんがいた。私を見つけると「お、来たなぁ」と笑って手を上げた。今日も私服はとてもオシャレだ。


「ごめんなぁ、暇やから誘ったんやけど。忙しかったりするか？」

「ううん、大丈夫。今は課題もないしゆっくり」

「そうか。また誘ってええ？授業の関係で友達とお昼食べれんのよ、1人寂しいねん」

「あはは、寂しがりや康二くんだ。いいよ。笑」

「やった」


ニコニコしながら何食べようかな〜と券売機を眺める康二くん。ノリではあるけどよくめめぇ〜！って目黒くんにくっつきに行く彼を勝手に"寂しがりや康二くん"と呼んでいた。

Aちゃん何食べるん？と聞かれて親子丼かなぁと答えたらそのボタンを押してはいと券を渡された。え？と康二くんを見ると、付き合ってくれてるお礼や！と笑ってる。

最近奢られてばっかだなぁ。


「今日バイト入っとるか？」

「うん、康二くんは？」

「もちろん、花金やもんなぁ」

「問答無用で入れられるよねぇ」

「最近店長俺らに頼りすぎやねん！シフト入りたい言うてる子おるのに、俺ら3人が回せるからって入れんねんで？」

「社畜まっしぐら」

「まぁ、3人とも希望だしてるからなんも言えんのやけどな」


もうね、社畜もいいとこ。でも3人で働けてお金貰えるなら別にいい。

結局、友達がいない私はコミュニケーションの場をバイトの時間に求めているのかもしれない。

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