陰キャとさくまの水曜日 2

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「最近水曜おらんよな。忙しいん？」

「あー、まぁ。うん」


最近のお昼は康二くんと一緒にいることが多い。段々見慣れてきた私服姿だけど、同じ服や同じ組み合わせを全然見ない康二くんの私服は相変わらずかっこいい。おしゃれさんだなっていつも思う。


「やっぱ3人揃わんと寂しいで、いつまでや？」

「今月はずっとかな、その代わり木曜に入ってるけど康二くんの関西弁が聞こえないのは変な感じするよ。笑」

「俺がいる店に慣れてもうたな。しれっと入って聞かせたろか？笑」

「店長に怒られるよ。笑」


木曜に入るようになったことで別に困ったことがあるわけではなかった。水曜みたいに雑談するほど暇でもないので下手に他の人と話すこともないので人見知りの私としてはそれがありがたい。店長に媚びうるぶりっこ女子には少々イラつくけど思ったよりも平和に働けていた。



「…なんか、最近Aちゃん楽しそうやな」


変に怖がってたなぁと思ってうどんを啜ると康二くんが私を真っすぐ見て呟いた。


「え、そう？」

「なんか生き生きしとるよ、表情が柔らかくなったというか」

「…全然、いつも通りだけど」

「なんか知らんうちに楽しみとかできたんちゃう？」



それで思い当たる節は正直合った。“水曜日”がガラッと変わったのだ。佐久間くんと踊るようになってから授業が終わるたびにワクワクしてる自分がいて、思いっきり誰かと踊るのが久しぶりで、楽しくて。

佐久間くんの言う通り、私は毎週笑っていたのだ。



「…まぁ確かに、楽しいかもしれない」

「そうか、よかったな」



優しく笑った康二くんの顔はなぜか切なく見えたけど、一瞬でうまいな、これ。って食べてるかつ丼をまじまじと見る姿に変わって思わず笑ってしまった。確かに彼がかつ丼を食べているところは見たことが無かったかもしれない。


「食べたことなかったの？」

「なんとなくなぁ、目につかんかったんよ」

「美味しいよね、この間食べたけど」



佐久間くんと食べたな。康二くんとご飯を食べるようになってからしばらく佐久間くんとは来ていない。気が済んだのか、水曜だけでいいからか。



「水曜の復活待っとるよ、3人で話すん俺楽しみの一つやからさ」



その言葉に笑う事しかできなかった自分に今度は罪悪感を感じる。
水曜のバイトは楽しみだったはずなのに、別の楽しみでそれを潰してしまったのは私だって気持ちいいものではない。

次のシフトはどう提出するべきなのか。

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