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「え、払いますよ…!」
「いいのーお土産貰ったしお礼よ」
佐久間さんは私を引っ張って会社の外にあるカフェへと押し込んだ。そしてそのまま飲み物を注文し、私にどうする?と聞くからカフェラテで…と答えると2人分をそのまま払おうとするから。
「お土産って返すものじゃないですから……」
「じゃあ…"女の子には財布出させたくないよ"」
「ふぇっ」
「んはは!良くある漫画のセリフぅ、俺今主人公を翻弄するイケメン男子だったでしょ?」
一瞬まじの男の顔をするからビビるじゃないか。
この人本当に二次元から飛び出してきたんじゃないか…?
「……ごちそうさまです」
「はいよーん」
カフェラテを受け取った私は軽く頭を下げる。顔を上げた時に見えたのはいつもの笑顔、さっきの鋭い目つきを思い出してその変わりようにちょっと恐怖を感じた。
「……さっきの佐久間さん、佐久間さんじゃないみたいでした」
「まぁ設定はどんなことにも目を光らせる最強の探偵?それかどんなに口を開かない容疑者にも事実を吐かせる敏腕刑事とかかなぁ」
にひひ、だなんてまたアニメみたいに笑った佐久間さんはカップにガムシロップをこれでもかといれていた。私と同じカフェラテなようだけど、克服したとはいえそんなに無理して飲むものだろうか。
「佐久間さん漫画家と俳優の兼業でも考えてみたらどうですか」
「多分ビジュアル的にはヤクザの役とかだろうね〜柄シャツとか来たらもうそれ」
会社の中にいた時は外していた軽く色のついた眼鏡をかけ直す。確かに髪はピンクで服装が派手だったらヤクザ感がでなくもないけど…普段の様子を見てるともっとポップで可愛らしい役の方がいい気がする。
まぁ、さっきのを見せられたらヤクザだろうがサイコパスだろうがどんとこいって感じだけど。
「…ありがとうございました。結局佐久間さんに全て任せてしまって」
「俺は思ったことを言っただけだよ。まぁこれがどう転ぶかは正直賭けだけど、少なくともこの噂は全くの嘘だってことは伝わったと思うな〜」
きっと物凄く甘いであろうカフェラテをちゅーっと吸いながら、佐久間さんはさっき会議室でポケットに入れた携帯を取り出して何やら操作する。
そしてあるページを表示させると編集長に向けたものとは全く異なる可愛い表情で私に差し出した。
「何ですか…?」
「こないだ取材受けたとこの記事。読んでみて」
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作者名:ぽぷら | 作成日時:2023年9月2日 23時