原作マイリフレクション 3 (ページ9)

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「それに、僕は漫画を描く上で編集者さんや関わる方々と真摯に向き合って、共に作品を完成させることを大事にしています。僕の事を疑うということはその僕の気持ちも伝わっていないんだろうなと思いますし、それは僕自身の責任でもあります。

なので、それを伝えられない僕のことは切っていただいた方がいいかとも思います。その理由だったら僕は契約解除を受け入れますし、深く反省します」

佐久間さんはそこまで言うと置いていた携帯を手に取る。そしてこれを見ていただけますかと差し出した。それはさっき彼の家で私が見たものと同じ、御陰さんとのトークルームだ。

「Aさんの前に僕の担当をしてくださっていた御陰さんとの会話です。この電話ではAさんの悪口や否定の言葉ばかりを聞かされて、正直不愉快でした。編集長ならこれが何を意味するか、分かりますよね？」

編集長の顔は引き攣っている。
言葉を発することもできずに、ただその画面を見つめていた。

「……僕の予想に過ぎないので明言はしません、なのできちんと調べて然るべき対処を取っていただきたいです。じゃないとAさんの今までの努力や僕の漫画が全て台無しになるという事をご理解いただけますか。

Aさんのおかげで今僕は漫画を描き続けられてます。連載を続けることができてます。そんな人に手を出すなんてあり得ない、そんな人は漫画家になるべきじゃないと思う。

ここまで伝えても僕の気持ちや漫画家としてのポリシーを分かって頂けないのなら…この噂を信じてAさんを守っていただけないのなら。僕もそれなりの対処は取らせてもらいます」

佐久間さんは携帯をポケットにしまった。そして私の方をチラッと見ると一瞬だけ表情を和らげてなんとウインクをして見せる。

「僕はこの出版社さんを嫌いになりたくありません。それに僕がここと関係を断ってもAさんはここの編集者さんですし、一緒にお仕事ができなくなります。それは嫌なんです。

今の連載、描き続けたいんですよ。Aさんと始めたこの連載を打ち切りになんかしたくない。なのでお願いします、Aさんと僕の漫画を守ってください」

最後は丁寧に、きちんと頭を下げた佐久間さん。
そして何も言えない編集長を少しだけ見つめ、黙って席を立った。

「Aさん、打ち合わせしましょ！」

私に明るく声をかけて半ば無理やり背中を押す。戸惑いながら会議室を出た私に佐久間さんは笑った。