原作マイリフレクション 3 (ページ43)

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「簡単に俺が今考えてる流れだと、しいちゃんのその恐怖も結局は都和と陽斗の2人が溶かしてくれるんだよ。それで想われていることを自然と許せるようになる」

動悸が収まらない。
佐久間さんはとても優しい目をしているのに、それでさえ鋭く感じてしまうのだ。全部、私の全てを見透かしているような気がして。

「俺の自論でしかないかもしれないけど、人間ってね、ほんっとに他人に興味がない。

それこそ好きな人だったり自分が大事だと思える人じゃなかったら結構簡単に視界から外しちゃう。そんな人間だからまず興味を持つってことも、中身をちゃんと知ってくれることも、それを超えて好きになるってことも結構奇跡に近いというか…簡単な事じゃないんだよ。

だから相手が自分の近くにいてくれるならその時点で色んな壁を超えた後なんだよ。だから申し訳ないなんて思わないで甘えていいんだと思う、受け入れていいんだよね。私はこの人に好かれてるんだーって、すごいなーって。それは恋愛関係だけじゃなく友達関係にも言えるし、例えば俺とAさんの関係でも言える。

しいちゃんにとってその壁を越えられた存在は都和と陽斗。それを教えるのがたまた恋心を抱いている2人自身だってだけで、それをこれから描いていくつもり。だから、一足先にAさんには俺が教えておくね」

ちょっと悪戯に笑った佐久間さんはまたスプーンを手に取って食事を再開し始めた。私も、変に動揺してるのを悟られないようにまた料理を口に運んだけど内心焦りまくっていた。

私をモデルとして詩香を書いているならば…佐久間さんは私を分かりすぎている。もうこうなったら詩香は私自身と認めざるを得ないのかもしれない。

「…ありがとう、ございます？」

「んはは！まぁピンとこないよねぇ。とりあえず頭の片隅で覚えておいて、役に立つかもしれないじゃん？」

私の演技は下手じゃないだろうか。
ピンと来ていない演技はできている？

「…佐久間さんって登場人物を深掘るのもの凄くうまいですよね」

「まぁねー。漫画の中の人物だとしても、ちゃんとリアルで存在してると思えるくらいにはっきりさせないと俺もその子を大事にできないからさ。幸せになってほしいじゃん、せっかく生まれたんだから」

しいちゃんも、ね？

そう笑った佐久間さんは、私を真っすぐに見つめていた。