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「その方が都和と陽斗のらしさが出るかなと思って。アプローチの仕方とかね」
「あー、確かに。まぁ、この終わり方でも自然ですし今後のことを考えたらこっちの方がいいかもですね」
焦りや取られるかもっていう不安があると思い切ってらしくない行動を起こすかもしれない。意外性を重視するならそれが正解かもしれないけど、この漫画の雰囲気とは違う気がする。2人らしさをある程度は重視したい。
そして、詩香とどちらかも大事だけどやっぱり幼馴染3人の空気感とか温かさは損いたくない。だから男子2人のバチバチ要素は無くす方向にする。
納得の変更理由だった。
この物語のいいところはドキドキと共に温かさがあるところだから。包み込んでくれるような、そんな優しさが。
「私的には問題ないです」
「おっけ、ありがと。じゃあこれで進めちゃうね」
イラストの方も問題なさそうだったのでOKを出した。そして佐久間さんがそれをしまったと同時にちょうど料理が運ばれてくる。
「ふぃーうまそー!」
さっきまで自分の作品のことを深く考えている作家モードで話していたのに。一瞬で目の前の料理に目を輝かせるどこか少年みたいな表情になった佐久間さん。
表情が豊かだ、本当に。
こんな人だったら、男女関係なく付き合う人は楽しいんだろうなぁ。
「ん?食べな?どしたの」
「あ…いや、いただきます」
ぼーっとしてしまっていた。
いけない、リフレッシュのつもりなのに。
「大丈夫ー?さっきもため息ついてたし」
「大丈夫ですよ。なんていうか、一息ついてただけです」
「そう?編集者さんってやっぱ忙しいイメージだからさ。関わってみても思う」
「佐久間さんの担当だといつも進みがスムーズなんで、ありがたいことにうまくやれてますよ」
「そりゃよかった」
それは嘘じゃない。この人の担当なだけでとれだけ私が助けられているだろうか。
「あ、そーだ。聞きたかったんだけどさ?」
そんな人のきゅるんと丸い目が向く。
「Aさんの推し、どっち?」
「へ…?」
「都和と陽斗。そろそろどっちがいいな〜って定まってたりしない?」
そして口角をキュッと上げて、楽しそうに問いかける。
「え…正直考えたことが……」
「まじぃ?それ次第で展開変わってくるよ?」
「え!?なんでですか!」
「詩香のモデルはAさんだもん」
嘘だろ、責任重大過ぎる。
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作者名:ぽぷら | 作成日時:2023年9月2日 23時