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「うわ…」
昼休み。
昨日の夜からずっと放置してしまっているアプリには着々と通知が溜まっていた。思わず声を漏らしてしまって。
"大丈夫？"
"おーい"
"ねぇ、既読だけでもつけて？"
昨日の夜、そして今朝にもきている辰哉からのメッセージ。あぁ、こんなに放置するんじゃなかった。明らかに心配させてしまっている。
"そっかぁ"
"じゃあ空いてる日教えて？"
"大丈夫？"
そしてその上には亮平。
普段はそんなに間を空けない私が今になっても返さないからか、10分ほど前に追加で一言が付け加えられている。
"大丈夫だよ"
そう、2人ともに一言を返して携帯を置いた。
断り方が悪かったな。心配をさせたいわけじゃ無い。
ただ、距離を置くことを考えるとこのくらいがいい気がして。忙しいってことにしよう、また私は携帯を放置する。
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・
"無理すんなよ？"
"なんかあったら聞くからね"
2人も何かを察してくれたのか、帰り道に開いたトークルームにはそれぞれが一言のみで返していて。私は当たり障りのないスタンプを送ってそれを閉じた。
「はぁ…」
無意識に出たため息。
それはなんのため息だったのだろう。
【深澤辰哉】
「えっ…」
ちょうど家に帰ってきた所だった。
ポケットの中が震えて取り出してみれば画面にはその名前。
少し動揺してどうすることもできず、そのまま切れるまで画面を見つめたままだった。
"A"
"余裕があったらでいい、少しだけ声聞かせて？"
そして、すぐにそんなメッセージが。
"Aの声聞きたい"
どこかで辰哉が、この文字を打っている。
それは確実で、現実で。
怖くて。
でも、心配させてしまっている。気にさせてしまっている。その罪悪感に負けて、私は受話器のマークをタップしてしまった。
「……もしもし」
『A？』
「うん」
『帰ってきた？』
「…うん」
『……おかえり、お疲れ様』
ものすごく、優しい声だね。
それってさ
「…うん、ただいま」
私以外にもするの？
『…俺の名前、何？』
「え…名前？」
『うん、名前』
してたらさ、流石にそれはダメだよ。
「…たつや？」
『うん、辰哉』
「なに、どうしたの」
ねぇ
『…やっぱ好きだな。Aが名前呼んでくれるの』
「だから…何それ」
『声も。安心すんの、聞けると』
あなたは、陽斗じゃないでしょ…？
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作者名：ぽぷら
| 作成日時：2023年9月2日 23時
