原作マイリフレクション 3 (ページ29)

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"何読んでんの？"

"んー、小説"

"どんな？"

"……ファンタジーなのかな、なんか、うまく説明できないけど"

"ふぅん、面白い？"

"うん、読み終わったら貸そうか"

"んー"

"ふっ、辰哉本読まないもんね"

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「……あ」

急に頭の中に映像が流れてきた。

ハッとして元の世界に意識を戻せば、手の中には制服姿の主人公と男の子。本を読む主人公に話しかけた男の子、そんな描写だ。

地味めな主人公がクラスの男子に目をつけられて…みたいなまた良くある設定の物語だ。この子みたいにメガネをかけて髪で顔を隠して…なんて分かりやすいビジュアルではなかったけど、地味だとか何だかパッとしないという点においては自分に似ているのかもしれない。

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"でもAがおもろいって言うなら読もうかなー"

"ほんと？"

"なんか、ハズレなさそうじゃん"

"それを言うなら亮平じゃない？たくさん本持ってるし"

"あいつとはゲームで語り合いたいからさ"

"何それ、笑"

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「はぁ…」

なんで私は事あるごとに過去を思い出してしまうのだろうか。漫画じゃなくて現実なのに。何だか自分が漫画の中に引き摺り込まれてしまうような感覚がして怖くなった。

パタンとそれを閉じ、ベッドに寝っ転がった。
放置していた携帯を見れば案の定辰哉からのいくつかのメッセージ。ただ、その上に辰哉ではない人のトークルームが。

"ねぇねぇ、次の土日空いてない？ここ行こう？"

また、気になる所を見つけてきたらしい。

"ごめんね、ちょっと厳しいかも"

予定を頭で思い返すことも送られてきたURLを開くこともせずにそう返した。すぐに既読がついたのは確認できたけど、トークルームを閉じてベットサイドに携帯を置いた。

一旦、彼らから離れようと思った。
漫画の通りに…自惚れだけど2人が私に好意を持ってしまっているようなことがあったらと思うとそれもまた怖かったのだ。

心配をかけてしまう事があったから今だけ特別に気にかけてくれてるだけかもしれないし、本当にただ何の感情もなくただ幼馴染という気を遣わない相手だからこそ起こしている行動かもしれない。

その時はその時で少し自分から距離を置けばフェードアウトして今まで通りの距離感になるだろう。だから、少し距離を置かせてほしい。

数回、携帯からは音が鳴っていた。
けど私はそれを手に取ることはしなかった。