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Aちゃんが作ってるの読みたい！と高校の頃を思わせるような可愛らしい笑顔で言ったなっちゃん。初めて直接言われたその文句に私はどこかぼんやりするような感覚になり。
「本屋行けば売ってる？」
「まぁ…まだ単行本になってない月刊誌の連載だから最初からは読めないんだけど…」
夢だなんて言われて。彼女になら教えてもいいかなと自然と思った私はネットで出ている作品概要のページ開いて差し出す。
「へぇ…イラスト綺麗」
「ね、凄いよね」
目を輝かせてそれを見てくれる彼女。
知り合いに改まって紹介することなんてないし、むしろ避けていたから。初めて自分の作っているものが誰かに認知される瞬間を見た。
「面白そう、読みたい」
「……調子が良ければいつか単行本になると思う。もし興味があったら」
「うんうん、てか最新のから読み始めちゃうかも」
あぁ、嬉しいかもしれない。
「……一応私がこの漫画の担当なことは秘密にしてて？なんていうか、あんま広めることでも無いからさ」
「うん、もちろん」
読んだら感想送る！だなんて。
こんないい子と付き合えてるなんて康二くんは幸せものだなとちょっと偉そうだけどそう思った。
辰哉も、そりゃ好きになるよね。
「幼馴染かぁ、なんかAちゃんとあの2人みたいだね」
そんなことを考えてたらちょっと痛いところを突かれてしまい。
「いやいや、全然違うよ。そもそも"少女漫画"だし」
「ふふ、それもそうかぁ」
でも軽く流してくれた彼女に胸を撫で下ろした。
私と2人とその"少女漫画"の中身が似ていることなんて、モデルときっかけが私たちだなんて。そんなの私しか知らないのだから。
「でも素敵だね。余計なお世話かもしれないけど…これみたいに2人のどっちかと恋人になったらAちゃん楽しく過ごせそうじゃない？」
私は、あくまでもモデルであって
「……いやぁ、そんな」
「ほら、電話した時も言ったけど2人といる時のAちゃんすごく可愛かったからさ」
詩香ではない。
「アプローチされることがあれば考えてもいいと思うよ！もしもの話ね！笑」
アプローチをされているなんて
そんなの
「……あり得ないよ、笑」
あり得ない…？
困る？
戸惑う？
「ふふ。まぁ2人じゃなくてもね？恋愛相談とかいつでも乗るよ！こっちは男の意見もあるからね」
「康二くん？笑」
「そうそう、意外といいこと言うんだよ？」
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作者名：ぽぷら
| 作成日時：2023年9月2日 23時
