じゃあ彼らは ページ23
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よくもこんなに残してあるもんだ。
うちの親はアルバムに残すのが好きなんだろうか。
さすがに高校生ともなると入学、卒業の2枚だけだけどここまでしっかりと残しているのも珍しいんじゃないかと思う。
以前見ていた幼少期のもののさらに奥にしまわれていたアルバムを引っ張り出した私は自分の両親のマメさに今更ながら感心した。
間違って後ろから開いてしまったページを時代を遡る感覚で前にめくっていく。段々と小さくなっていく3人。特に2人は変化が大きくて男の子の成長期はすごいなと思う。
「……あぁ、そうだ」
そんな中でアルバムといえば家のものだけではないじゃないかと。確かそれは部屋の中に…と自室の本棚に目を向ければ幼稚園、小、中、高と順番に並べてある卒業アルバム。
その中の１つを取って開けばクラスの集合写真。張り出されたクラス発表の名簿を3人で見て、また一緒なのねと苦笑いしたのを思い出した。
別に、高校ともなれば一緒に写ってるものは少なくて。そもそも私はカメラを向けられる、つまり人が集まっているような場所にはあまりいなかったから。
「…全然写ってないのね、笑」
かろうじて見切れてたり、こっそり授業風景を撮られていた場面くらいしか自分の姿は見つけられなかった。
アルバムがある中だと一番最近なはずなのに、高校の時の記憶があまりない。ただ最近2人と話してぼんやりと思い出したそれは正直あまり思い出さなくてもよかったことだ。
科学的根拠は無いかもしれないけど、人間は嫌な記憶を自然と消してしまうなんて話を聞いたことがある。
そうだったのかもしれないなぁなんて、私は一人自傷的に笑った。
「帰るね」
「あら、なんか持ってく？お惣菜とか」
「ううん、大丈夫」
本当に用もなく、ただ何となく帰ってきただけ。
だから長居する理由もなくて。
近くにきたからとか言って少し愛犬と戯れて、そしてアルバムを未漁っただけの時間。
なぜそんな時間を過ごしにきたかというと、それは心がザワザワしてしょうがなかったからだ。
色々事件やらを経て落ち着いて、冷静になって仕事をしているとやっぱり都和と陽斗と重なる部分があまりにも多すぎることに改めて気づいた。
亮平は気がつけば私に会いにくる。
辰哉は毎週電話をかけてくる。
都和と陽斗は詩香に想いを寄せているからだ。
じゃあ、
私の幼馴染2人はなぜ…？
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作者名：ぽぷら
| 作成日時：2023年9月2日 23時
