原作マイリフレクション 3 (ページ3)

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「A？」

私の顔を覗き込むようにして亮平が声をかけて。視界が水分で覆われる中辛うじて目を合わせると、ふんわりと優しく微笑んでからそっと私の手に自分のものを重ねる。

「Aは凄い。あなたとじゃないと仕事したくない、そう言ってもらえるなんて中々ない事だよ。そんな信頼されてる人が悪く言われる筋合いなんてないよ、だからまず自分のこと褒めてあげよう」

その重ねた手がぐっと握られて、真剣な目が見えた。
少しだけ水分がはけて視界がくっきりしてくる。

「あのね、その問題自体はすぐに解決できないかもしれない。でも噂されてる事は全くの嘘、もしそんな噂を流した人の目的がAに対する嫉妬とかそんなものだったら、Aが自分を責める必要なんて全くないんだよ。そもそもどんな理由であれそいつは社会人としてあるまじき行動をしてるんだから、Aが声を上げるとか何か行動を起こしちゃえばすぐに立場は悪くなるはず」

今亮平が私の手を握っているのは、安心させようとか慰めようとかそんな類の気持ちからじゃない気がした。

「そんなすぐに何か行動を起こすなんて怖くてできないと思う。Aの会社の事なんて俺は分からないし、直接的に何かができるのかって言ったら違う。だから無責任だって言われても仕方がない。でも、もしいつかAが何かをしてみようとか、戦ってみようって思う時が来たらそれは絶対に間違ってないから。それだけは言えるから」

何かパワーを送ってくれているような、大丈夫だって伝えてくれてるような。

「……信頼できる人、誰かしらいない？会社の中でAの頑張りを見てくれてる人。助けてって言ってもいいと思うよ？」

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ギリギリ終電が残っていた2人は去る時にはいつものテンションで。コントみたいなやりとりをしながら駆け足で駅へと向かって行った。

私はまた1人になって、部屋の中でふとこの間3人で撮った写真を見つめた後に。

幼少期の、あのぼーっとした顔の私に2人がサイドからぎゅっと抱きついている写真を見た。

あぁ、そうか。
きっとあの頃から2人は私を支えてくれてたんだね。
体温をくれていたんだね。

「……安心、してるんだね。私」

この小さい私の表情はどうでもいいとかそんな感情からくるものじゃない。いつも一緒に居る2人に挟まれて、安心して気が抜けているような表情に見えた。