原作マイリフレクション 3 (ページ20)

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なんで？ページ20

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“本屋行かない？”

“え？なんで？”

“出版社勤めさんのオススメ聞きたいの。新しい本欲しくて”

“え、私小説とか活字系の部門じゃないよ”

“俺漫画だって読むよ？”

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小説の文庫が売っているゾーンに足を進めた亮平の側をそっと離れた。

ご飯奢るから！なんて言われて、しかもその連絡が来たのが昼休みの終わりで戻ろうとしていた時だったので勢いでいいよと送ってしまった。そんな約束の日、もちろん小説のオススメはできないので気になっていた光景が見れるかなと漫画売り場へ。

「わ…」

思わず声を漏らした。
原稿で見た佐久間さんのイラストが堂々と並んでいる。

表紙のそれを手に取れば何とも言えない気持ちが沸き上がった。

もちろん発売より先に会社で見ているのだけど、やっぱり実際に本屋に並んでいる所を見ると感動する。自分が担当する人のイラストが月刊誌で単独で表紙になったのは初めてだし、佐久間さん自体は何回か経験があるらしいけど私が担当になってからは初。

佐久間さんも見たのかなぁ。喜んでるだろうなぁ。

「ねぇ」

「うわっ！」

「それってもしかしてさ」

その表紙を見つめていると後ろから覗き込むようにして急に声をかけられるからびっくりして。思わず漫画を落としそうになった私を亮平はおかしそうに笑った。

「ごめんごめん、笑」

「びっくりしたぁ…」

「今持ってるの、Aが作ってるやつ？」

ギク。
あぁ、何だかデジャヴ。

「ち、違うよ！別の出版社の、なんていうか…気になって」

「はは、そっか。やっぱライバルは気になっちゃうんだ？」

「いやー…別に意識してるとかじゃないけど…正直そんな他の会社のもの気にする立場でもないし…」

そーっと思いっきり弊社の出版物であるそれを棚に戻す。

「じゃあどれがAのとこの？」

にこにこしながらそう問う亮平にまたギクリ。
そうか、そうなりますよね。

「……教えない」

「えー、なんでよ」

「なんでも」

そう言って漫画売り場を離れると辰哉のように深く問い詰めることはなくそのままついてきた亮平。手にはいくつかの文庫本が。

「買うの？」

「うん、これシリーズもので前編持ってるの。最近後編出たからずっと欲しくて。これは気になったから読んでみよーって」

私が着いてきた意味とは。
きっと最初からあらかた決まっていたのであろう買い物をしに亮平はレジへと向かって行った。