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「……目黒くんだ」
教室を出た時ポケットの中の振動に気づいて、取り出せば画面に表示されている目黒蓮の文字。この人が電話してくる時の要件はだいたい決まっているのでため息をついて応答する。
「もしもし、シフト変われって?」
『一言目がそれかよ。笑』
「じゃなかったら電話なんかしないじゃん」
『俺今日休みだけど』
「え、じゃあ何」
授業が終わった直後に来た電話。聞こえてきたのは意外な内容だった。
『今日暇?モデルのお礼で康二が奢ってくれるっていうから飯行くんだけど、どうせならAにも奢ってやれって言ったら俺が誘えって言うからさ』
「え、まぁ暇だけど……そんな、私はいいよ。私の分までって申し訳ない」
『康二誰よりもシフト入ってるから大丈夫っしょ』
「いやまぁいつもいるイメージはあるけど…」
私も社畜だけど康二くんもまぁまぁ社畜だ。私がいる時はほぼいるし、去年働きすぎて扶養から外れちゃうって年末に連休貰ってた。忘年会シーズンに康二くんがいないから目黒くんと二人して来年は絶対働きすぎないで!って念を押したくらい。
「男子2人のご飯に私が行くのは気が引けるってか……気使わせちゃうのも嫌だし遠慮しとくよ」
『いや今更?そんな気使うような仲じゃねえだろ』
「今更も何も」
『へー、そんなに俺らと飯行くの嫌なんだー。康二悲しむだろうなー』
「は?変な風に言わないでよ!」
『この後18時半駅前。分かったな』
「え、ちょ!……切れたし」
何だろうな、最近強引に事を進められてばっかだな。私が押しに弱いのか?女の子はか弱い生き物ですからねって何言ってんのよ、誰がか弱い女の子じゃ。
変なノリツッコミを心の中でしながらため息をつく。耳から離した携帯を見ると時刻は17時前だった。一回帰って荷物だけ置いてこよう、パソコンやら教科書やらでリュックが重い。
「今日はお仕事じゃないみたいね」
「わぁ!……あ、阿部くん?」
そう思って携帯をポッケに入れて歩き出した途端、廊下に寄りかかっていたのを入り口の方に向き直ればそこには阿部くんがいた。
「お友達とご飯?社畜さんのたまの休暇ね」
「いや人の電話盗み聞きとか趣味悪」
「話しかけようとしたら聞こえてきただけ」
何でこんなにも急に現れるんだろう、佐久間くんもだけど彼は神出鬼没すぎる。いくら同じ学科とは言えそれこそストーカーレベルだ。
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作者名:ぽぷら | 作成日時:2021年5月20日 2時