陰キャとさくまの水曜日 (ページ39)

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ピーンポーン

康二くんがカメラをしまいにスタッフルームに向かった時、お客さんが来たことを知らせる音が聞こえた。

いらっしゃいませーと声を上げて見る。見た感じ大学生の男集団かな。目黒くんの方を見ると了解とだけ言って表に出た。私達はお互いにこうやって助け合っている、同性なら絡まれる可能性はないもんね。

私も適当にフロアの掃除でもしようかと表に出たらあ、Aちゃん！というあの声が聞こえて。びっくりして振り向くとあのダンスサークル御一行様だった。

……うそでしょ、だから体育館こなかったのか。

「A、知り合い？」

「あー、まぁ…多分…？」

「多分ってなんだよ。お友達みたいなんでこの子に任せますね」

目黒くんはニコっと接客スマイルを6人に向けてそそくさと撤退。いや任せないでくれ。

「あー、いらっしゃいませ…」

「あからさまに嫌そうな顔しないで、ここで働いてるんだ？」

「だからいるんですよ、年齢確認します」

何だかまたムカつく笑みを見せながら話しかけてきた阿部くんに嫌味ったらしく返してやった。

「いや同級生！てかさっきされたし…」

それに俺そんな子供っぽい？って膨れてる佐久間くんがいた。確かに可愛い顔してるから目黒くんじゃなくてもするよ多分。

2人の後ろで久しぶりーって手を振る4人さん。やっぱり6人が集まると威圧がすごくて萎縮する。やっぱりサークルは入りたくないと改めて思った。

「ねぇねぇ、最初に来たあの人写真の人でしょ！Aちゃんと写ってた！」

　「あー、うんそうご注文お決まりでしたらお呼びくださーい」

あまり絡まれるのも嫌なので仕事中なんでという顔をして案内した席を離れた。携帯をいじっていた目黒くんの元に戻るとあれ友達なんでしょ？いいの？と聞かれた。

「いや…絡まれたくないから……」

「はは、友達なのに酷いな」

「ちょっと前に話したじゃん、陽キャに絡まれてるって」

「あー同い年の？絶対未成年いるだろって思ったけど確かにみんなハタチ超えてたわ」

「そう、多分一番未成年っぽい人がその人」

「あーあの人」

目黒くんはすぐに分かった様子。
髪明るいのに未成年だと思われる佐久間くんは逆に凄い。

だから目黒くん注文よろしくって言ったらヤダよ絶対Aがいいとかって言われるだろって言われてため息をつく。

さっさと帰ってくれって思う。
平和な水曜日なはずなのになぁ。